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2003年2月7日付・政府回答


福島質問(第2回)主意書への2.7政府回答の解説

動燃の1バッチ縛り逸脱契約を肯定。
詭弁をやめ、誤りをみとめよ!
望月 彰(JCO事故調査市民の会)


2002年12月13日福島瑞穂質問)一、
 一九八六年の硝酸ウラニル溶液についての最初の契約に当たって、動燃が一ロット四〇リットルを要求したのは事実か。
解説(望月)
 JCOは臨界管理を考慮して、1ロット1バッチを提案した(最終弁論)が、動燃が1ロットの増量を求めたことが、これで明確となった。1ロットの増量を求めるということは、1バッチ縛りをはずすことであるから、臨界管理を逸脱する事を意味している。クロスブレンディングであれば、臨界管理が可能であるというのは、詭弁である。もし作業者が10ヶの4リットル容器を40センチ間隔に配置することを無視して、密着配置すれば臨界になる。作業者が間違って臨界になる場合があるような方法(クロスブレンディング)について「適切な臨界管理の方法に従ったクロスブレンディングを行えば」というのは、「如何なる場合でも臨界にはしない」という原則を放棄していることを意味している。長谷証言によれば、クロスブレンディングは中腰で60回、70回と行ったり来たりせねばならず「きつかった」。作業負荷の大きな作業は、間違ったり、はしょる可能性が大きいのだから、臨界の危険が大きかったのであった。

 なお、第1回福島質問への回答でも「クロスブレンディングは違法ではなかった」とされているので、その根拠を問うた付属質問にたいする政府回答(10月9日)は「許可申請書及び変更許可申請書においては、硝酸ウラニル溶液を貯蔵することについて記載されており、一般的に、液体を貯蔵する際には、その一環として、当該液体を別の容器に詰め替えて複数の容器内の液体の濃度を同じにすることはあり得ることから、硝酸ウラニル溶液に関わる適切な臨界管理の方法に従った均一化については、JCOが許可された行為の範囲内に含まれていると考えています。」というものであった。

 濃度を均一にするという行為は「詰め替える」のだから作業であって、貯蔵ではない。作業を貯蔵と言いくるめるのを、「一般的に」詭弁という。
(福島質問)二、
 この契約の際、動燃が「検査や輸送に関わる期間を短縮するため」に、これを要求したというのは事実か。

2003年2月7日政府回答一及び二について

 お尋ねの事実関係について、核燃料サイクル開発機構(以下「サイクル機構」という。)から聴取したところ、その概要は次のとおりである。
 硝酸ウラニル溶液の輸送に際しては、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第五十九条の二第二項の規定に基づく運搬に関する確認の申請のために硝酸ウラニル溶液を分析することが必要となるが、サイクル機構の前身である動力炉・核燃料開発事業団(以下「動燃」という。)は、当該分析を実施する回数を減らすことにより分析に要する期間を短縮するため、同一の硝酸ウラニル溶液として取り扱うことができる一単位の量(以下「ロット」という。)を増やすことが可能かとの検討を日本核燃料コンバージョン株式会社(現在の名称は株式会社ジェー・シー・オーであり、以下「JCO」という。)に依頼した。この依頼を受けて、JCOから適切な臨界管理の方法に従ったクロスブレンディング(硝酸ウラニル溶液を複数の容器から同量ずつ取り出して別の複数の容器に配分することをいう。)を行えば一ロットを約四十リットルにできる旨の提案がなされたところ、動燃は提案されたクロスブレンディングであれば臨界管理の方法として問題ないと考え、昭和六十一年十月にJCOとの間で一ロットを約四十リットルとする旨の契約を締結した。

(福島質問)三、
 事実であれば、JCOの臨界事故は、動燃の臨界管理を無視した無理な注文によって発生したと考えられる。容量九・五リットル程度のバケツを使用していた方が、むしろ臨界管理ができたのではないかと考えるが、いかがか。


(政府回答)三について

 臨界管理が適切か否かは、容器の容量だけではなく、ウラン溶液の濃度、容器の形状、複数の容器を用いる場合にはそれらの容器の配置状況などとも関連するため、一概に「容量九・五リットル程度のバケツを使用していた方が、むしろ臨界管理ができた」とはいえないと考える。
 いずれにせよ、原子炉等規制法第十六条第一項の規定に基づき、昭和五十九年六月にJCOに対して行った核燃料加工事業の変更の許可における臨界管理の方法は適切なものであったと考えている。

解説
 「いちがいに・・・とはいえない」「かならずしも・・・とはいえない」とは、「いえる場合もある」ことになる。部分的否定の論法で全否定を暗示したいのかも知れないが白を黒と言いくるめるのは、容易ではない。<3について> では「臨界管理が適切か否かは、諸条件と関連するため、一概に少量容器が良いとはいえない」とし、<4について>は、少量容器は「適切に管理すれば・・・」無理があったとはいえない、というのである。福島式「少量容器」はだめで、科技庁式「少量容器」は良いのだろうか。
(福島質問)四、
 一ロット四〇リットルで「化学的組成を均一化」させようとすれば、クロスブレンディングであろうと、改造貯塔や沈殿槽であろうと約七バッチ分の硝酸ウラニルを同時処理しなければならず、一バッチ縛りを守ることができない。事故を発生させた沈殿槽に約七バッチ分の硝酸ウラニルを入れることになった「動機」は、動燃の無理な注文にあったと判断すべきであると考えるが、いかがか。


(政府回答)四について

 一及び二についてで述べたとおり、サイクル機構から聴取したところ、動燃は、JCOから適切な臨界管理の方法に従ったクロスブレンディングを行えば、一ロットを約四十リットルとできる旨提案されたことを受けて契約を締結したとのことであり、必ずしも動燃の注文に無理があったとはいえないと考える。

(福島質問)五、
 一バッチ縛りを現実的に実行するためには、一バッチ一ロットずつの生産管理を実行するしかない。これは少量容器(バケツ等のステンレス容器)を使って実現できるものであるにもかかわらず、一九八四年の硝酸ウラニル溶液製造許可は精製施設にて生産するというものであった。この施設はバッチ生産には大き過ぎるだけでなく、不純物の混入が避けられないものであった。精製施設とは不純物の精製であって、塔や槽の中に不純物が残っているからである。そこで、この施設で溶液を造るとせっかく精製した八酸化三ウランに再び不純物を混入することになって、不純物の処理という予期せぬ作業が発生することになった。その結果、弁護団の主張するようにこの不純物濃度を均一化する必要が生じて臨界事故になったのではないか。


(政府回答)五について

 動燃とJCOとの間で昭和六十一年十月に締結された契約に関わる契約仕様書においては、一ロットの製品の「化学的性質」が「均一である」旨が定められている。精製工程を経た八酸化三ウランにもある程度の不純物が含まれているなどの理由から、JCOが当該契約上の義務を履行するためには、八酸化三ウランの溶解に精製施設の一部を利用するか否かにかかわらず、一ロットの製品の「化学的性質」を均一化するための作業が必要であったと考えられ、「この施設で溶液を造るとせっかく精製した八酸化三ウランに再び不純物を混入することになって、(中略)この不純物濃度を均一化する必要が生じ」たとのご指摘は当たらないと考える。
解説
 なるほど「御指摘は当たらないと考える」という政府の考えはよく判りました。それでは結局、動燃とJCOとの契約にある「均一化」とは何の「均一化」でしょうか。ウラン濃度は350gUプラス・マイナス30gU/リットルまたは380gU/リットル以下ですから、均一の契約ではありません。遊離硝酸は約0.5N以下ですから均一ではありません。不純物も「溶液中の不純物は次の量以下であるものとする」とあって銀、アルミニュウム他15元素について0.3ppm〜100ppmの指定が契約されているのです。ウラン濃縮度だけは「支給品の濃縮度プラス・マイナス0.25wt%」と指定されていて、均一を求められているとはいえ、JCOは濃縮度を制御する装置はもっていないのですから、受け入れたウランをそのまま返すという意味しかありえません。当該契約を履行するための「均一化」とは契約書には記載されていない何かの「均一化」か、さもなくば作り話だったことになります。

 なお、念のため、「精製工程を経た8酸化3ウランにもある程度の不純物が含まれている」のであれば、その不純物は上記契約の指定されたppm以下であるか以上であるかが問われているのであって、もし契約条件を越えていた場合は再度精製するのが、本来の契約の履行であるはずです。混合しても、不純物の量の総量は下がりません。混合して運良く均一化できても、指定ppmを越えていたらどうするつもりなのでしょうか。

 そもそもppmのレベルで「均一」を問うこと自体が異常です。0.5ppmプラス・マイナス0.1ppm以内の銀の量などという制御を求めるのは馬鹿げています。

(福島質問)六、
 以上の理由で、一九八四年の安全審査及び硝酸ウラニル溶液の製造許可は重大な誤りであったと判断されるが、いかがか。


(政府回答)六について

 お尋ねのJCOに対する許可及び当該許可に係わる科学技術庁の審査は適切に行われたものと考えている。
解説 安全審査はしていなかったという「もんじゅ判決」は正しかった。JCOともんじゅはほぼ同時期の安全審査で、おして知るべし。

 今回の質問に加えて、より重要な質問が残っている。1バッチ縛りとは6.5リットル(2.4kg)ずつ生産することである。なのに44リットル〜95リットルの塔や槽のある精製施設で製造することにして、「臨界はない」と何故判断したのか。これこそ安全審査しなかった証拠である。どさくさに紛れて「許可」したのが精製施設であったために、不純物も混入することになり、ものづくりとしては最悪の方法を合法化した。臨界事故は起きるべくして起きたことを知るべきである。

結論
 臨界事故調査市民の会(槌田敦代表)は2000年3月21日、原子力安全委員会(佐藤一男委員長)あてに質問状の書簡(第2回目)を送った。それは冒頭で事故の責任を作業者に求めるのは誤りであることを指摘し、第2項目で以下のように尋ねている。

「1回に扱うウランの量を2.4kgに制限しておいて、その6倍のウラン14.5kg全部で均一な溶液を40リットル作るなどということは、論理的にも実際にも、全く無理というものです。その無理のためJCOの作業方法は定まらず二転三転し、作業者はこれに振り回され、沈殿槽(95リットル)を使用することになり、ついに事故にしてしまったのです。JCOと動燃のこのような無理な契約がこの事故の直接の原因なのではありませんか。」

 この質問状への回答はついになかったが、2.7政府回答は上記の質問に対する事実上の回答であった。動燃は1回の作業量が2.4kg(1バッチ)を越えることを意味する1ロットの増量を求めたのである。昨年10月21日のJCO弁護団による最終弁論によれば、JCOは1バッチ1ロットを主張したのに、動燃が1ロットの増量を求めたのであった。その理由は2.7政府回答にもあるように「当該分析を実施する回数を減らすことにより分析に要する期間を短縮するため」であった。動燃の効率第一主義が事故を招いたのである。

 1年6ヶ月に及ぶJCO刑事裁判(水戸地裁)で証言されているように、JCOは1986年の最初の契約のときから「無理な注文」だと判っていた。「均一化をJCOで行うような注文は受けなければ良かった。」(嶋内前所長・9/21証言)。「事故の原因は精製施設で溶液を作ったこと」(越島所長5/14証言)と明言している。

 事故の3年後に契約の経緯が暴露されたが、3年も隠していたこと自体が国家的犯罪行為であることを指摘して、結論とする。

質問4と5の解説は、今井丈夫さん(いろりばた会議)の意見にもとずいて、書いています。

(2003年2月11日)


2002年12月13日付「JCO臨界事故と安全審査に関する質問主意書」(再質問)

2003年2月7日付・政府回答


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