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福島瑞穂再質問主意書の解説にかえて

 社民党幹事長福島瑞穂参議院議員は7月25日、臨界事故と安全審査に関する質問書を国会法に基づいて文書で行った。その趣旨は、動燃とJCOの契約書には「ウラン濃度均一化」の記述がないので、原子力安全委員会の最終報告書が間違いではないかということ、また、転換試験棟の精製施設を硝酸ウラニル溶液作製に使うと不純物が混入するのだから、1984年の安全審査は誤審査だったのではないか、というものであった。
 これに対して9月18日小泉純一郎名の内閣の回答があったが、典型的な官僚答弁であった。しかし10月21日の水戸地裁のJCO弁護団による最終弁論は、福島質問の正しさを事実上裏付けるものであった。よって、福島議員はあらためて再質問したのが、12月13日付けの質問書である。この質問書の若干の解説に代えて、以下の文章を参照していただきたい。


JCO弁護団、動燃の責任をついに暴露!
  10.21最終弁論にて臨界事故の原因が明確となる
 
望月 彰(JCO事故調査市民の会)

 東海村臨界事故の責任を問う水戸地裁の刑事裁判は、10月21日の最終弁論をもって全ての審理を終了した。弁護団は4時間にわたる弁論の大部分を科技庁と動燃の批判に費やした。マスコミは吉田守審査官が動燃から出向し、科技庁職員として審査にあたり、自分で自分を審査するような「緊張感の欠如」を報道した。このことは昨年来の公判のなかで、とっくに明らかになっていたことであるが、ようやく表に出してきたものである。

 マスコミは報道していないが、この最終弁論において、JCO弁護団は次の二つの事実を初めて暴露した。

(1)1986年の硝酸ウラニル溶液の最初の契約にあたって、JCOは1バッチを1ロットとするよう申し入れたが、動燃は検査や輸送にかかる期間を短縮するため、1ロットの増量を要求し、1ロット40リットル(約7バッチ)となった。

(2)混合均一化はウラン濃度だけでなく、不純物、遊離硝酸の均一化のためであった。

 この意味は、事故の真の原因を暴露したことになるので、きわめて重大なことである。 というのは、臨界事故は転換試験棟の精製施設の中の沈殿槽に約7バッチの硝酸ウラニルを入れたことによって起きたのであるが、何故、このような作業をしたのかの動機がまったく明らかにされていなかった。作業者が直属の上司の許可無しにとか、別ラインの「主任の承認」とかの「説明」はあっても、それは如何なる目的で7バッチ入れたのかの説明ではなかった。この動機は、動燃が何を注文したのか、を明確にしない限り明らかにならないのであるが、原子力安全委員会の最終報告書も水戸地検の冒頭陳述も、これを隠していたのである。

 1バッチ縛りは吉田守審査官が、臨界管理の基本としてJCOに要求した許可条件である。官僚の2枚舌を絵に描いたような話である。JCOには要求したが自分(動燃)には要求しなかった。7バッチを1ロットとすれば、7回分析すべきところ、1回で済ますことができる。この結果1バッチ縛りに違反する作業が発生した。クロスブレンディング、改造貯塔、沈殿槽はいずれも約7バッチを同時処理する作業であり、1バッチ縛りに違反している。要するに契約それじたいが事故の原因だったことが暴露されたわけである。1986年から1999年まで、事故にならなかったのが不思議というほかはない。

 動燃の無理な注文とはこのことであった。しかしながら、この事故は科技庁と原子力安全委員会のまことに無責任な「安全審査」を伴う「複合汚染」のもとで起きたのである。硝酸ウラニル溶液は、精製施設で作ることが、1984年に許可された。したがって、別の方法でつくれば違法である。水戸地検はバケツの違法性について「許可条件に違反している」とくり返し述べている。

 これまでにも強調させていただいたところであるが、精製施設とは「ウランの不純物を取り除く」施設である。硝酸ウラニルとは、硝酸にウランが溶解している溶液のことであるが、精製施設の硝酸には、ウランと不純物が溶解しているのであって、ウランを中和処理したあとは、不純物だけが溶けている。この硝酸は廃棄処分されるが、塔や槽の内壁に付着した硝酸には不純物が含まれている。精製するためであれば、この不純物はいかなる不具合もないのであるが、不純物を含まない硝酸ウラニルを求める場合には、最悪である。せっかく精製したウランを、再び不純物の中に戻すことになるからだ。

 この最悪の方法を「許可」したのが、1984年の安全審査であった。合法的につくると不純物が混入し、予期せぬ対策が生まれた。これが混合均一化であった。

 最終弁論でも「白状」しているように、動燃とJCOの契約仕様書には、「ウラン濃度の均一化」とは書いてない。ウランは(350プラス・マイナス30)gU/リットルの濃度であって、

不純物のほうに厳しい条件が課せられていた。最終報告書が「ウラン濃度均一化のために沈殿槽を使用」と述べているのは、真っ赤なウソだったわけである。

 ちなみに、混合均一化のための設備投資の予算の余裕がなくて事故になった、という判断もあったのであるが、とんでも無い感違いであった。1バッチの溶液は6.5リットルであるから、この程度の容器さえあれば、不純物の含まれない「濃度均一な硝酸ウラニル」が作製できた。ただ、精製施設さえ使わなければ、何も問題なかったのである。そして勿論この正しい方法は「許可されていない」から違法である。一方、沈殿槽を使う「混合均一化」は1バッチ縛りには違反しているが「精製施設で溶液をつくる」という「許可条件」には合法で忠実な作業であった。原子力業界は腐りきっている。良いものを、安く、安全に作るという「ものづくりのモラル」が崩壊しているのである。

 科技庁と動燃は「無理な注文」と「無責任な安全審査」を隠して、事故の責任をJCOとその作業者・担当者に転化してきたが、契約のいきさつが暴露されたことによって、以外に早く真実が見えてきた。

 槌田敦氏の鈴木裁判長への書簡が、沈殿槽使用の動機の不純性を鋭く突いていて、水戸地検にもJCO弁護団にもコピーを送ったので、弁護団がそれなりの回答をしたものだと推測してよいだろう。 

よって、次は科技庁・動燃に真実を語ってもらわねばならない。福島瑞穂質問主意書はそのための第1歩となるだろう。政府回答は2月10日予定。水戸地裁の判決は3月3日である。
                   (2002.12.16)


2002年12月13日質問主意書(再質問)

2003年2月7日付政府回答


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