2003年9月30日 JCO臨界被曝事故4周年・東京圏集会
(930実行委員会主催)
4年目の東海村と健康被害裁判の状況

大泉実成さん
(臨界事故被害者の裁判を支援する会、作家)
文責:930実行委員会
〈目次〉
4年目の東海村の状況〜ヒバクという現象が時間を追って目の前に展開される
健康被害裁判の状況〜よくもまあここまで主張できるものだなと
ヒバクが起こると、本当にしんどいことがいろいろと起こる
大泉昭一さんよりカンパのお礼と挨拶
東海村で事故後4年という時間がたちまして、風化が進んでいるというか、徐々に事故のことについても忘れ去られそうになってますが、今日、本当にこれだけたくさんの皆さんが臨界事故のことを覚えていて集まっていただけたことを感謝させていただきたいと思います。
今日は、私のほうでは大きく二つの話をしたいと思います。一つは、東海村臨界事故で被曝した人たちの現状。それからもう一つは、その後、私の父と母が原告になりまして臨界事故による健康被害の裁判を昨年の9月に始めましたけれども、それが今どうなっているのかということです。この二つの点についてお話をしまして、皆さんにご理解、ご協力をお願いしようかというふうに思っております。
| ●4年目の東海村の状況〜ヒバクという現象が時間を追って目の前に展開される● |
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まず第1番目の点ですけれども、先程原爆ヒバクのお話を聞きましたが、僕も事故直後に広島の方からお電話をいただいて、ヒバク後何年もたってから症状が出ることがあるから、本当に恐ろしいから注意してくださいねということを言われたことがあるんです。
実際、国が一応命令して、茨城県が主体となっているJCO事故関連の健康診断というのが、今年で4回目なんですけれども行われまして、やっぱり今お話の中にもありましたけれども、ぼちぼち癌になる人が出始めました。ただ、たまたま僕たちは健康診断の会場で、その人たちからアンケートを取るということでお話を伺うというかたちでいろいろと知ることができたわけなんですけれども、まあお医者さんに言わせれば、事故によって癌になったわけじゃなくて日本人の4分の1ぐらいは癌で死ぬんだから、これだけの人数がいるんだからそのうち何人かが癌になるのは不思議はないんだと。われわれが茨城県と交渉した時に、茨城県の担当の医者はこういうふうな言い方をしておりました。
けれども、癌になられたご本人にとってはやはりすごいショックなことであるし、またそういう人を本当にケアする受け皿というものがありません。私の母が事故の直後からPTSDで体調も悪いということで、JCOという言葉を聞いたり思い出したりするだけで調子がおかしくなるという状況だったんですね。で、やはりその方も聞いてみると、その癌が発病する前から、例えば事故直後から洗濯物を外に干せないとか、それからやはりJCOという言葉を見たりするだけで気分が悪くなったり体調が悪くなったりするっていう、同じような心理的な症状もあったみたいです。そういう意味で母と非常に理解し合えたというんですか、そんなかたちで被害者同士が交流することが一方で進んでおります。
で、この健康診断っていうのが、平成12年度、つまり事故の翌年の春から4回やってるんですけれども、一番初めの年は344人の人が受けまして、それが徐々に減っていきまして、その翌年の平成13年度は268名。平成14年度は240名にまで減ったんですが、今年の4月にやった時には、どういうわけか再び初年度と同じ300名以上の人が来るようになりました。正確には304名の方が見えて、60名も増えたんですけれども、これをどのように評価していいのかちょっとよく分からない。ただはっきりしてることは、4年たって体に対する不安、それから実際の症状が少しずつ出始めている。
ただ、今も広島の方のお話がお医者さんからありましたけれども、僕らもその話を聞いて、あるいは臨界事故の直後から体調が悪くて、それがもうずっと続いてるっていう人の話もたくさん聞くんですけれども、結局“証明のしようがない”という点でまさしく同じなんです。それで、非常にジレンマを感じながらその人たちの苦しみっていうんですか、そういう話を聞いてあげるっていうことしかできないんです。で、結局事故から4年たっても、事故直後と病状なり何なりがそう変わらない。あるいは、4年たったあとに初めて調子が悪いことが分かってくるとか、あるいは癌になる人が出てくるとかっていう状況になってまして、もう本当に僕にとってはヒバク事故っていうかヒバクという現象自体、こういうかたちで時間を追って目の前に展開されるっていうのは初めての経験なんですけれども、改めて怖いものだなと思っています。
で、もう一方で、ヒバクそのものと同時に、やはり事故による心理的なショックというものでいわゆるPTSDになった人たちで、この茨城県の健康診断というのはどういうわけか事故時に避難場所になった舟石川コミュニティーセンターという所でやってるんですけれども、そこに行くと事故のことを思い出すのでどうしても3年間来れなかったという人が、今年初めて来て健康のチェックをしていかれました。で、こういうかたちで物理的に体調が悪いという人だけでなくて、精神的にまいってる人たちも少しずつ表側に出てこられるようになったんだなというふうに思いました。というようなことが、この1年ぐらいで起きています。
| ●健康被害裁判の状況〜よくもまあここまで主張できるものだなと● |
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で、もう一つ、こういうことに関しては、国はJCO事故に関しては「身体的に被害があったのは亡くなった2人の方と横川さんというJCOの作業員の方と3名だけ」ということで一切切り捨てておりまして、それに対して現実に事故後に被害があったじゃないかと、健康状態が悪くなった人がたくさんいるじゃないかということで、民事裁判を昨年起こしたわけです。
その状況なんですけれども、特にヒバク影響ということについて限定して言いますと、まずJCO側が主張していることというのは、体に対する影響は、要するにさっき言ったその急性障害のことだけを「身体的影響」というふうに言い換えまして、で、「身体的影響というのは250ミリシーベルト以下のヒバクでは起きない」ということで、250ミリシーベルト以下のヒバクは完全に切り捨てるという主張を準備書面でしております。で、晩発性のいわゆる遺伝的障害とか後天的に起こっている癌とかっていうことですが、そういうことに関しては一切触れないっていう戦略を打ってきておりまして、「一切認めない」というやり方になってます。
で、もう一つ、中性子線の身体影響については、ほかの放射線などと全く同じように考えるということで、中性子線の特性とか危険性というものについては一切切り捨てていると、そういう内容の準備書面になってまして、まあこれは本当にちょっと準備書面を読んでるだけでも、考え方が単純というか未熟と言えばそうなんですけれども、一方でよくもまあここまで主張できるものだなと、これが裁判というものなのかというふうに思いながら見てるんですけれども。
その中で、明日、実は公判があるんですけれども、明日から実質的にJCO事故のヒバクと体の障害がどのように因果関係があるのかという本当の裁判の中身のほうに入っていきます。で、JCO側はそれがないということを主張するために、病院からカルテそのほかあらゆる個人的な情報を集めて、ないことを証明しようとする。で、それに対する反論を私たちはやっていこうと思ってるんですが、先ほどの肥田先生のお話もあったように、多分今の医学のレベルでは、放射線ヒバクによってこういうふうな障害が出てるということを、急性障害以外を証明するっていうことは大変難しいと思います。ましてやJCOのほうは中性子の特性も全く否定している。それから晩発性障害、遺伝的障害についても切り捨てるという態度で来ていますので、こういう相手に対してやはりなぜ中性子線のヒバクが恐ろしいのか、それから晩発性障害というのはいったいどのくらいの低線量ヒバクで起きるのかということを主張していかなくちゃいけないという立場になっております。これはやはり非常に難しいので、そういう意味で言うと、皆さんからぜひお知恵とエネルギーをお借りして、少しでも裁判の勝利ということに向かってがんばっていきたいと思っております。
| ●ヒバクが起こると、本当にしんどいことがいろいろと起こる● |
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まあ、僕も1年前もここでいろいろと話させていただいて、本当にたくさん話したいことはあって、1年間悔しかったこと、大変だったこととかもいっぱいあるんです。でも本当にこうやってヒバク事故が起きる、ヒバクが起きるということは、まあ広島でもそうです。そうなんだと思うんです。JCO事故っていうのは僕は両親とかの状況を目の前で見たのでやっぱり分かるんですが、ヒバクが起こるということは、先程のお話のヒバクさせられたことがどんどんどんどん隠されてしまうということや、東海村では差別の問題なんかも発生してますけれども、本当にしんどいことがいろいろと起こるということを目の当たりにしてきました。まあめげる部分もかなりあるんですけれども、やはりそれを逆にエネルギーに変えていきたいし、何とか裁判と、それからこの被害者の風化への運動というものを続けていただきたいと思います。皆さんのご協力をお願いいたします。どうもありがとうございました。
| ●大泉昭一さんよりカンパのお礼と挨拶● |
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(大泉昭一さん(健康被害裁判原告))
時間もありませんので、簡単にお話したいと思います。いろいろと皆さんの温かいご支援をいただきまして、本当にありがとうございます。明日から、私たち裁判に入ります。明日行われるのは第5回目です。もう資料もそろいましたので、まあこの辺で、私たちいわゆる被害者、原告側として、JCOあるいは住友金属鉱山と闘うつもりでおります。
私は660数名の方のお力を傘に掲げて正々堂々と、そして今回の皆さんの温かいご支援の中から一所懸命闘うつもりでおりますので、今後ともひとつよろしくお願いいたします。
(終わり)
〈大泉実成さんの昨年の「3周年集会」でのお話へ〉
●講演録が好評につき、「東海村臨界被曝事故4周年・東京圏集会」での
肥田舜太郎さんと大泉実成さんの講演などを収録した
パンフレットが近日刊行になります。
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