第77回いろりばた会議(2003年6月19日開催)
「全国の原発の状況」〜竹村英明さんレジュメより〜

原子力発電の今 −北から南まで−
2003.6.19(竹村英明)
1 北海道
1)幌延
核燃料サイクル機構(旧動燃)が高レベル放射性廃棄物の処分場としてねらっていた。核燃料サイクル開発機構は高レベル廃棄物の処分主体からはずれ、現在は研究開発の役割に限定‥という位置づけで、一度は頓挫した深地層研究所での「調査研究」が復活している。かつては道知事までが反対し、労組なども激しく反対し、全道を上げて反対していたが、前知事の研究容認、労組の変質などで、反対運動は少数派‥。

2)泊原発
泊では現在2号機までが稼働中。3号機は2000年10月20日に電源開発基本計画に組み入れ、2003年4月の着工予定だったが、1年延期され、来年4月着工予定。新知事は当然‥、推進。

2 青森
1)六ヶ所村・再処理工場
使用済核燃料貯蔵プールで水漏れ。溶接の欠陥であることが判明。不良箇所はもっとある可能性が高く、現在溶接箇所を点検中。6月にはじまる予定だったウラン試験は延期され、その後のめどは立っていない。

2)六ヶ所村・ウラン濃縮/高レベル廃棄物ほか
ウラン濃縮のカスケードが故障でつぎつぎ停止。すでに7つあるラインの内2つが停止している。高レベル廃棄物は5月末で616本(貯蔵容量1440本)。低レベル廃棄物は5月末で約15万本(埋設容量100万本)だが、本来持ち込むべきでない超ウラン元素などを含む中レベル廃棄物が持ち込まれはじめている。

3)東通原発
東北電力1号機が現在建設中。工事進捗率は5月末で74%とか。型はABWRかと思ったら、ただのBWR。他に東北電力2号機、東京電力1、2号機が計画中。これらは、ABWRの予定。

4)大間原発
風力発電、地熱発電などをやっている電源開発株式会社の第1号原発。計画されたのは20年も前。そのころは新型転換炉の実証炉という位置づけだった。形状の酷似したチェルノブイリ原発の大事故もあり、コスト的にもダメということで新型転換炉は中止。フルMOXのABWRということで仕切りなおして計画変更。しかし炉心予定地近くの地権者が今も反対。安全審査は留保されている。今年2月には、炉心位置変更の申請。土地取得の可能性は薄いのに、周辺工事はどんどん進められ、周囲は海岸も山もコンクリートだらけに‥。

3 宮城
宮城沖地震の恐怖に揺れる女川原発。先日の地震では震度6弱で停止。
再循環系配管にひび割れあり。UT検査ではひび割れの深さが正確に測定できないことが、昨年秋、このひび割れの検査中に判明した(今年に入るまで隠していたが‥)。

4 福島
第一原発と第二原発、あわせて10基の原発。すべての号機でシュラウドや再循環系配管にひび割れが見つかり、全部止まっている。立地4町は運転再開に合意したが、佐藤栄佐久県知事が国や電力会社への不信感をあらわにしており、それに対するマスコミバッシングまではじまる。実際、再循環系配管は傷だらけであり、それをそのままで運転するのは危険。

5 茨城
JCOの臨界事故があった東海村。ここには核燃料サイクル開発機構の再処理工場、原研の研究所、日本原電の東海原発、東海第二原発、そのほか三菱原子燃料、原子燃料工業などの核燃料加工工場、隣の大洗に「常陽」がある。再処理工場は1997年のアスファルト固化施設爆発火災事故で止まっていたが、2000年に小規模に運転再開。運転開始から25年間、年間処理能力210トンの半分まで処理できたことすら1度もない。原研の研究炉JPDRが日本の廃炉第1号で解体され、続いて東海原発が一昨年12月に廃炉となった。

6 新潟
柏崎刈羽原発は全7基が一度すべて停止。再循環系配管がないABWR型の6、7号機から立ち上げるという戦略で、5月末に6号機を立ち上げ、7号機についても平山知事から運転再開許可をとりつけた。続いて5号機から他の号機の立ち上げもねらっているが、傷だらけの状況は福島と同じ。

7 神奈川
大きな原発はないが、東芝の研究炉、武蔵工大の研究炉、立教大学の研究炉などが相次いで廃炉となった。燃料はアメリカに送り返された‥と思われる。
核燃料加工工場GNFは、JCO事故のあとも変わらず、核燃料を各地に送り続けている。シェアはBWR型原発の90%。

8 静岡
傷だらけの浜岡原発がある。4基ともBWRで再循環系配管の状況は福島や柏崎と同じはず。ところが中部電力は東京電力のような詳細な検査を行わないまま、ひび割れなしということにして運転を強行している。老朽化、東海地震、もっとも安全感覚のない電力会社という三拍子揃っている浜岡原発は大事故の最短距離にある。

9 岐阜
高レベル放射性廃棄物の処分場の本命。瑞浪、土岐市にまたがる広大な土地を核燃料サイクル開発機構(旧動燃)が取得している。その土地には手をつけず、そのすぐ近くの市有地を、原環機構が市から借りて深地層研究所をつくった。放射能を持ち込まない研究という名目だが、周辺地層の特性を調査することができる。

10 三重
中部電力の芦浜原発は地元の反対運動と三重県知事の決断で白紙に。しかし、海山町が立地要請して推進側が住民投票を実施。その結果、住民は反対を選び、あっという間に吹き飛んだ。

11 石川
志賀原発はBWR。ひび割れ問題は共通。しかし、あまり実態が公表されてきていない。珠洲原発は地元は反対・賛成が二分、立地の可能性は低いが中部電力はあきらめていない。

12 福井
1)もんじゅ/ふげん
もんじゅは1995年の火災事故以来運転はされていない。ただしプルトニウム燃料はそのままで、ナトリウムは電気を使って温め続けている。メンテナンス費用が毎年約100億円とか。
周辺住民による、もんじゅの設置許可取消し訴訟は、今年1月住民側勝訴の判決が出た。国は上告受理申請をしたが、上告が認められ、判決がひっくり返る可能性は少ない。
ふげんは廃炉が決まり、今年3月運転を停止した。これから15年かけて解体される。解体費用は700億円と見積もられ、この額は建設費用より高い。

2)敦賀
日本原電の原発。1号機はBWR、2号機はPWR。現在3、4号機増設の計画あり。昨年6月に知事了解、7月に電源開発計画に組み込み。

3)美浜、大飯、高浜
関西電力のPWR。全11基。PWRでもシュラウドや再循環系配管のひび割れの類のことが起こっているはずで、圧力容器上蓋のひび割れが注目されている。かつては蒸気発生器細管のピンホールが大量に発生、PWRのアキレス腱に。高額の費用をかけて蒸気発生器そのものを交換することが常態に。高浜3号ではプルサーマルの計画があったが、データねつ造の発覚と栗田前知事の懸念でこれはストップ。

13 大阪
熊取の京大実験炉も廃炉。ここにも核燃料加工工場あり。

14 岡山
人形峠に核燃料サイクル開発機構のウラン濃縮実証施設があったが、すでに実証運転は終了、ウラン残土や劣化ウラン、その他廃棄物の処理が問題に。ここも高レベル放射性廃棄物の最終処分場の有力候補地。

15 島根
中国電力の原発が2基。BWRでひび割れは最近ここでも発見された。
3号機増設の動きあり。電力需要はまったく伸びないのに、上関も含め、なぜか原発に固執。

16 山口
上関原発が炉心近くの土地も含め、大半の土地取得ができていないにもかかわらず、電源開発計画に昨年組み入れられた。広大な神社地が神職の宮司さんの反対で取得できないできたが、今年に入って神社本庁がこの宮司さんを解任。神社地は売却一歩手前まで来ている。一方で、町民の入会地の売却は、今年住民側の勝訴判決。微妙な勝負の中で、この春の統一地方選では町長選で推進派がかろうじて勝ったものの、買収による選挙違反で責任者が逮捕、連座制適用が確実な情勢となり、再選挙は必至の情勢。7月8日からは町議補選が開始。

17 愛媛
四国電力の伊方原発が3基。PWR型。1号機は1977年運転開始で古い。
発電用タービンの架台に無数の大きなひび割れが走っているという内部告発があり、四国電力も事実は認めた。建設時のコンクリートに海砂が使われた可能性が高く、ひび割れが架台だけにとどまるのか疑問。四国電力はひび割れはあるが、解析の結果安全とわかったというようなコメントで済ませている。
ECCS(緊急炉心冷却系)配管のひび割れが発生。BWRの再循環系配管に起こっているひび割れが、ついにPWRでも発生してきた。

18 佐賀
九州電力の玄海原発。PWR型。かつて蒸気発生器細管のピンホールが最も多く、運転には「限界」原発と呼ばれていた。4基あるが、いちばん古い1号機は1975年に運転開始。

19 宮崎
九州電力の串間原発の立地計画あり。1992年から誘致の動き。住民側から住民投票条例を成立させるが、九州電力が「白紙撤回」を表明、それを受けて反対派のはずの市長が住民投票を実施しないという決断。最近の動きは不明。

20 鹿児島
九州電力の川内原発。PWRが2基。考えてみたら、私が近づいたことのない唯一の原発‥。