第72回いろりばた会議録(2003年1月16日開催)
続・イラクへの戦争と核兵器・劣化ウラン弾

山崎 久隆さん
(たんぽぽ舎、劣化ウラン研究会代表、市民運動ボランティアネット@nifty)

文責:いろりばた会議事務局
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1.“第2次グレートゲーム”時代
2.石油、テロ、紛争/イージス艦の本当の役割

3.ジェノサイド戦争

〈目次〉

アメリカの無謀な戦争と、それを止めようとするヨーロッパ諸国

ウルトラCとしての戦術核兵器使用

地下施設を破壊するための新型核弾頭開発

アメリカの戦争犯罪「アフガニスタン劣化ウラン事件」がニュースになる日

今回イラクで行われようとしている戦争はジェノサイド戦争

世界中であまり揺れてない国は日本くらい

「2月、3月の開戦」を止められれば戦争阻止は可能だろう



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●アメリカの無謀な戦争と、それを止めようとするヨーロッパ諸国●  [↑目次へ

 軍事力で何事かを行う場合には、軍事作戦を立てますよね。立案して、こういうふうに実行すればうまくいくであろう、と。例えば湾岸戦争の時には確かにアメリカ軍の立てた軍事作戦は完璧なまでに成功しました。それ以来、アメリカ軍は失敗したらどうしようと考えない行動パターンになっているわけです。
 しかし一面的な作戦行動を立てて行動しようとすれば少しでも失敗すれば泥沼に陥る、そういう軍事的な行動パターンになっていきますね。

 したがって今回イラクで戦争を始めるということになると、これは前と典型的に違うのは、「フセイン政権を倒す」という目標がくっついてしまっていますので、こんなことを実際にやれと言われれば、軍人としての軍事合理性の観点から見れば、成功するもしないも「5分5分」である、と。まあ「半分ぐらいは成功する可能性はあるかもしれないけど、失敗する可能性も半分くらいあるぞ」という前提で立てなきゃいけないような作戦なわけです。
 ところが最大の問題は、じゃあそのアメリカ軍を投入しますよね。投入します、地上部隊を。「撤退路を断たれたらどうするんだ?」、何も考えてないですよ。
 だから現実的にはどういう状況で戦争を止めるか=「終戦」という手を打つのか、ということが見えない戦争をやれと言うことに等しいわけですね。しかもイラク国内で孤立をするっていうことも考えながら行動をしなければいけない。これはもう、とてもじゃないですけどやりたかない戦争です。その目的が何かっていうと「石油資源のためにやれ」というんですから、ますますやりたくない戦争だということになるわけです。

 そういうことが世界のヨーロッパの国々は大体分かってきていますから、アメリカが勇ましく「突撃だ」と吹いている間は、「まあまあまあ」と言いながら「国連の中で国連安保理事会の新決議を出そう」とか色んな動きで、で、決議が挙がった途端に「この決議を実行させるために、さあみんながんばろう!」というふうになっちゃって、「アメリカ軍の軍事行動?ああ、その後、その後」っていう感じで、どんどんこう後ろの方へ、後ろの方へと下げていこうとしてます。戦争なんてやってもらっちゃ困るというのがヨーロッパの一般的な考え。
 大体もしもアメリカが戦争を始めて、ヨーロッパでその反撃としてテロ攻撃を受けた日にはヨーロッパ自体がもうガタガタになってしまうというわけで、そんなことも見えてますから、戦争なんかやりたくはないという構図になってきています。

 で、アメリカ国内の世論も当然そんなことは気が付いてる人はいっぱいいますから、なんとか戦争を止めよう、と。だから今の状況で2月末に開戦の可能性があるなんていう報道がされていますけど、現在6万5千くらいの兵力を投入する可能性があると。それで、今月(1月)末に12万5千くらいと。で、湾岸戦争の最盛期で投入されている軍事力は57万くらいになりますから、それに比べると随分少ないですね。それに比べると少ないんですけども、ブッシュ政権のラムズフェルド国防長官などは「25万もいらないんだ」と。「15万くらいでこの作戦は出来る」と。まあ無茶苦茶な話です。
 有り体に言うとですね、100万人投入したって成功する可能性は低いです。そういう戦争です。そういう戦争をやろうとしてるわけですから、落とし所をどこにしようかというところをアメリカの軍隊の内部では一生懸命考えているのが実態だろうと。だから「もういいからやめよう」という撤退の時期を模索しながら開戦時期を探ってると。両睨みですね。そういう状況になっています。

 したがってアフガニスタン戦争の時に、最初のうちは「アルカイダのオサマ・ビンラディンを捕まえるんだ、殺すんだ」と勇ましく飛び出していったんですけれども、結局オサマ・ビンラディンもオマル師も見つからないまんま引き際が分からずにズルズルとまだ戦争やってます。
 イラクは人口も戦力もアフガニスタンの比ではないですので、ああいう状況にだけはしたくない。それからそんなに長い間アラブで戦争をやっていれば周辺地域がもちません。とてもじゃないですけれどもイランやサウジアラビアの国内だって維持できないということになりますから、短期決戦でやるしかないです。そうなると、とてもじゃないですけどこんな作戦でやったんじゃ話にならない。


●ウルトラCとしての戦術核兵器使用●  [↑目次へ

 で、実はそこでウルトラC。考えられるのは核兵器です。
 ここまで煮詰まってきてしまうとですね、普通の通常戦力や劣化ウラン弾程度ではとても一撃でイラクの体制崩壊まで持っていくことが出来ないと見るや、アメリカ軍は戦術核兵器をバグダッドの大統領官邸に撃ち込む、というウルトラC。これが本当のウルトラCです。えー、フセインもろとも吹き飛ばす、こういう戦争をする可能性があります。
 これはまあにっちもさっちもいかなくなってる、背に腹は代えられない状況ということですね。

 で、戦術核兵器を使う理由は何かと言えば、じつはフセイン政権は戦争が始まればみんな地下壕に潜ります。今の地下壕の作り方っていうのは(まあこれは公表されてるわけではないので、それこそアメリカ軍のCIA情報とかリーク情報とかを総合した話になりますけど)、大体100mくらいの深いエリアに強化コンクリートで作った地下壕がバグダッド市内の縦横に巡らされているというふうに言われています。
 したがってこれを破壊するにはまず通常の爆撃では不可能。狙いを定めてバンカーバスターのような地下100mまで行くような爆弾を落とすということは当然やるでしょう。もうそれやるとバグダッド市内はグチャグチャになるわけですけれども、まあ当然やってくるだろうと。しかしながらもう一つの問題は、縦横に張り巡らしてるもんですから、バンカーバスターはポイントで破壊することは出来ても、面で破壊することは出来ないですね。つまりこういう長い地下壕の一部は壊れても他は平気ということなるわけです。
 これを全部一気に潰すっていうのは核兵器しかないです。戦術核兵器を撃ち込むことによって、洞窟内部は瞬時に爆風と放射能によって全域が破壊されるということになります。で、地上はさほど壊れません。100mの地下で0.1キロトン以下の小型原爆が爆発するわけですから、見た目で言うならばパキスタンの核実験などのような状況になります。
 したがって地上ではまあ地震は凄いですけれども−震度7くらいの地震になりますけど−、キノコ雲がポコーンと上がるというわけではない。見た目では核攻撃を受けたってことはすぐには分からない。巨大な爆弾が落ちたっていう感覚しかない可能性があります。そういう兵器を使ってでもサダム・フセインを抹殺しなければこの戦争を終わらせられない、というふうに考えた時に、アメリカ軍はその最後の手を使ってくる。その可能性があります。


●地下施設を破壊するためのアメリカの新型核弾頭開発●  [↑目次へ

 実はこの間ずーっとアメリカは未臨界核実験を続けてきました。何であんな事を延々とやってるのか。まあ公式には「兵器の安全性・信頼性を確保するため」とかなんとか言ってますが、そんなのは嘘です。新しい核弾頭を開発してるわけです。

 この新しい核弾頭の一番の狙い目は何かというと、地下深くまで弾頭部分が突き刺さっていく間にその弾頭を破壊されずに行く。で、一番深部まで−まあ100mくらいですね−来たところで時限信管が働いて核爆発が起きるんですが、これは非常に小さな爆発であると。と言っても核爆発ですから、それはもの凄いエネルギーが出るわけですね。しかしそのエネルギーの大半を爆風とか爆発圧力ではなくて、中性子線によって行う。つまり大量の中性子を出すけれども、爆発の爆風や熱戦は少ないものを作るという、そういう核兵器です。新型核兵器ですね。
 これによって何が起きるかっていうと、破壊エリアは小さいですけれど−まあ地下壕、バグダッド市内の地下壕くらいは壊滅するけれども−地上は破壊されない。地上に大量の放射能も降らない。その代わり地下壕の中にいる人間は、大量の中性子線と爆風によって抹殺することが出来る。そういう兵器です。

 で、アメリカがネバダの地下核実験場で延々とこれを開発をしていた最大の理由は何かというと、まあこれは別に北朝鮮とかだけに限るわけじゃないですけど、世界の軍事施設はどんどん地下化しているということ。地下に埋まってるわけですね。空から攻撃を受けたら次々と破壊されるということでは堪らないわけですから、地下100mとか200mとかそういったところに地下壕を作る。これは別にアメリカだってやってるわけで、既に米ソ冷戦の真っ最中には地下500mというような所に地下施設を作ったりするわけです。
 こういう施設はそれまではいわば「核攻撃を受けても破壊されない無傷の生存施設」というふうに見られていたわけです。しかし米ソだけではなくて世界の各国がそんな施設を次々と建設していくようになっていくと、アメリカにしてみればアメリカ軍がどんなに攻撃を仕掛けていっても主要なターゲットを破壊できない、と。まあ殺せないということになってしまいますので、なんとかこの地下施設も破壊する爆弾を開発しなければいけないという軍事的な必要性に迫られます。
 そこで考えたのが「空から落として地下深くまで突き刺さる爆弾」だと。それが「バンカーバスター」、まあ通常爆弾ですね(超小型核爆弾のB61−11も「バンカーバスター」と呼ばれる)

 で、これを一番最初に湾岸戦争で使った時には2発くらい使いまして、確かに地下壕を破壊することは出来たんですが、地下壕は破壊できたものの爆発力が足りない。やはり貫通することに重きを置いてますので、弾頭部分に付ける爆薬の量があんまり多くできないんですね。いくら2000ポンド爆弾とはいっても、2000ポンドのうちの爆発に使う部分というのは500ポンドかそのくらいしかない。で、地下深くでドカーンといきますけど、大体地下壕というのは複雑に入り組んだ構造をしていて、爆発が起きても内部で影響を最小限をくい止めるようにシェルターになってるわけです。したがってそう簡単には壊れないわけですね。

 で、バンカーバスターを沢山作ってはみたものの、それだけで完璧にイラクの地下壕を破壊する能力はないということがもう分かってますから、1997年からずーっと今日に至るまで、核爆弾の改良を一生懸命やってます。B61−11(1989年から開発されたと推定され、1997年に実戦配備を公式発表した地表貫通型の超小型核爆弾)をベースにしてそれをバンカーバスター化し、さらに地下深くまで突入をするように改造を加えていってるわけです。
 それがどんなものなのかっていうことは、まだじつは表向きに公表すらされていません。アメリカ軍っていうのは兵器は使うまでは明らかにしない国ですから、どんな兵器なのか、どんな形の爆弾なのかもはっきりはしないですけれども、もう既に完成の域に近づいているっていうのが、昨今のアメリカの反核運動をやっている所から来るニュースソースでの情報です。「新型爆弾がそろそろ開発段階を終了しそうだ」というような話が来るんですが、それは前の情報ですから今となってはもう出来てる可能性がある。そういったものを使ってでもフセインを抹殺するということは、可能性としてないとは言えない。

 で、これだけ劣化ウラン弾を撃ち込み続けていますから、新たなイラク戦争ではまたしてもそういう核兵器、新たに本当の核兵器が使われるという可能性が否定できないという所まで来てしまっています。


●アメリカの戦争犯罪「アフガニスタン劣化ウラン事件」がニュースになる日●  [↑目次へ

 で、次の7ページの方を見てください。これは核爆弾ではありませんで、通常爆弾ですけど、通常爆弾と言いつつ劣化ウランを使っている通常爆弾です。


(図=ダイ・ウィリアムズ作成)
 で、一番上にあるのがバンカーバスターです。地下30mまで突き刺さるということですね。
 このバンカーバスター、先端に付いてるものはこれは誘導部分で、着弾と同時に吹き飛びます。着弾と同時にこの細長い部分が地下に突き刺さって30mくらいまで行ってしまうんですね。この30mまで行ったところでドカーンと爆発するんですけど、地下深くまで突き刺さるためには、この爆弾本体が強固に作られていないと地面を突き破って進んでいくことが出来ません。
 したがってその強固に作られた弾頭部分、これをペネトレイターと呼ぶんですが−「貫通体」と訳してますけれども−、これが「高密度金属」で作られているということまでは分かっています。

 「『高密度金属』っていったい何?」っていうと、鉄や鉛なんかよりも密度の高い金属ですから、タングステンであるとかウランであるとかそういったものが考えられます。
 で、すでにアメリカは劣化ウラン弾を通常弾頭として大量に配備をしているんで、この「高密度金属」となれば劣化ウランを当然疑うわけですけれども、アメリカはそれに対しては「イエス」とも「ノー」とも、まあ軍事機密だということで言ってないわけですね。

 しかしながらアメリカの特許庁に出されているアメリカ軍需産業の特許っていうのを見ていくと、こういう形で開発をした「弾頭を深くまで突き刺す能力のあるペネトレイターの特許」ですね、そのペネトレイターの特許を見ていくと、タングステンまたは劣化ウランとちゃんと書いてあるわけですね。
 まあ機密でも何でもないじゃないか、と。まあ特許は機密にしたら特許になりませんので、公開するのが原則ですから当然そこは公開せざるを得ない。そこで公開してある特許文書を探してみると、タングステンまたは劣化ウランの合金というふうに書いてあるわけです。
 で、タングステンを使う可能性があるかっていうと、まず価格が高い。それから主要生産国が中国などに限られる。したがって戦争に使う道具っていうのは、仮想敵国から入れていたのでは止められちゃったら軍需物資が入ってこないっていうことになりますね。軍需物資っていうのは常に安定的に供給されなければいけないというのは、これもう軍事合理性の当然の考え方です。
 したがいまして劣化ウランとタングステンと二つ並べて「さあどっち使う?」と言われれば、普通は劣化ウランを取るのが当たり前です。
 日本の場合は法律で規制があるのでそれは出来ないという構図にはなりますが、軍事合理性の観点から考えれば劣化ウランを取って弾頭に付けます。

 それによって付けられた弾頭の重さはどのくらいになるのか。このバンカーバスターで2トン。2000kgという劣化ウランの量になります。普通の30ミリ機関砲弾が1発当たり大体300gくらいですから、それに比べたらとてつもない量ですね。1番下に「A10ストライク30ミリ×200ラウンド」と書いてある。これは何かというと「50」って所ですね。これは「A10の機関銃弾が200発集まって50kgという量になるよ」ということです。
 つまりA10の2000発分が500kgですから、そのさらに4倍で8000発分という、そういうとてつもない量がこのバンカーバスター一発に付けられている。

 で、アフガニスタンではバンカーバスターなどの誘導ミサイルは合計2000発使われてると言われてます。それら全部に劣化ウランが入ってたと仮定して、平均的に大体500kg入ってたというふうに仮定したら、それだけでもう1000トンです。もうその数字を自分で言うのも怖くなるくらいの数字でして、イラク、湾岸戦争で使われた時は300トンて言われたんですね。300トンでものすごい健康被害や湾岸戦争症候群が、あれだけ起きているわけですよ。
 もしも本当に1000トンもの規模でアフガニスタンに使ったとすればですね、あの地帯はとてつもない放射能汚染地帯になってるはずです。現在、アメリカなどのNGOが現地調査(カナダの「UMRC」が昨年2回調査を行い、現在サンプルを分析中)をやってます。その結果が出てくると驚愕する結果になる可能性が極めて高いですね。したがってアメリカのやっている戦争犯罪でアフガニスタン劣化ウラン事件というのが今年のうちに大きなニュースとなって登場するのも、まあ可能性は高いだろうというふうに思っています。


●今回イラクで行われようとしている戦争はジェノサイド戦争●  [↑目次へ

 ましてや劣化ウランを、まあ今度はアフガニスタンではなくてイラクで、第二次湾岸戦争で使ったとすれば桁が違います。アフガニスタンで使った爆弾2000発と多く聞こえるかもしれませんけれども、こんなもんではないんです。
 第一次湾岸戦争の時ですら、じつはあのわずか10数日間の空爆で使われた爆弾の総量はベトナム戦争で使われた総量に匹敵します。ベトナム戦争といえば1960何年から1974年までですが、その10何年間にわたって落とした爆弾の総量と、あの湾岸戦争一回でドカンと使った総量が匹敵をするんですね。そんなレベルの爆弾を落としてるわけですから、下手をすれば万の単位の、何万トンという単位の劣化ウランがイラクに撃ち込まれるということすら想像が出来てしまうわけですね。
 そんな戦争を始めたら、もうイラクそのものが壊滅してしまいます。アメリカは、まあようするにサダム・フセインを倒してしまえばどうでもいいわけでしょう。どうせサダム・フセインを打倒した後でもイラクでは親米政権なんて出来っこないと思ってますから、アメリカは。それだったら国民もろともイラクを消滅させる、というのがアメリカの戦争の考え方としか思えない。
 本当にそうするかどうか分かりませんけれども、まあジェノサイド=大量殺戮・虐殺ですね。ジェノサイド戦争が今回イラクで行われようとしている戦争である、というふうに理解をしていただいた方が妥当であろうというふうに思います。


●世界中であまり揺れてない国は日本くらい●  [↑目次へ

 まあこんな戦争ですから、何が何でも止めなくちゃいけない。今月18日にも世界同時で反戦集会が取り組まれます。それだけじゃなくて2月のその開戦というD−dayがあるのかどうか分かりませんが、その日に向けて様々な取り組みがされていきますが、今各国は揺れてます。
 あんまり揺れてないのは日本くらいでして、世界中の国は本当にこんな戦争をしていいのかということをやっぱりみんな考え始めて、あのイギリスですらもう国民世論が戦争賛成が半分を超えたことがないですね。40%ぐらい。せいぜいでも40%ぐらい。50%以上が戦争反対ですから。その中でブレア首相が最初勇ましかったんですけど、だんだんだんだんそのまま突っ走っていっていいのかっていう圧力に押されて、さらにあの国は面白いことに国防大臣が戦争反対派なんですね。どうも「この戦争反対」とはもう表だってはなかなか言えないんだけど、こんな戦争やったらとんでもないぞというようなニュアンスのことをひっきりなしに言ってるんですね。
 ドイツもドイツで、シュレーダー政権の中は反戦派が多数ですね。
 それからフランスは、シラク大統領が「戦争反対」とこの前川口大臣に言ってますね。
 というふうにヨーロッパ主要国はみんな戦争反対です。やってもいいなんていう国はひとつもないという状況になってきています。まあイギリスがどう転ぶかというのが焦点になっています。

 で、アジアに目を向けると、日本以外は「戦争をしろ」なんて言ってる国は一ヶ国もありません。なんか日本だけがアメリカの戦争に絶大なる支援をしそうな勢いですね。イージス艦を出してアメリカの空母機動部隊を守ってあげてるぐらいですから、当然そんなことになりかねない。したがってますます焦点は日本ということになってきています。なんか気が重いんですけれど。
 いまだかつて日本がですね、こういうアメリカの戦争を止める重要な位置に立ったことっていうのは、じつは今まであんまりないんですね。今まであんまりなくて、どちらかというと「アメリカがやってる戦争にどうやって荷担させないようにするのか」というような反戦運動の方が、まあどちらかというと主要だった。けれども今回のイラク戦争は、これはもう日本がどうするかによってかなり大きく変わってしまうという状況にだんだん近づいてきています。


●「2月、3月の開戦」を止められれば戦争阻止は可能だろう●  [↑目次へ

 で、アメリカ国内も揺れてますので、そういう意味で言うと「2月の下旬の開戦時期」と彼らが言っている時期に、もし本当に戦争が止められれば、しばらくはアメリカは戦争できないだろうと。これは兵站の補給とか兵士の交替のサイクルに入ってしまうんですね。だから湾岸に10万人もの兵隊を半年も1年も張り付けることは、これはもちろんできません。したがってどうしても交代要員を入れなくちゃいけないんですが、交代要員は訓練しないと入れられないんですね。訓練するためにはやっぱり1年掛かります。
 そうすると、「真夏でも戦争できる」なんて訳の分からないことをアメリカは言ってますれども、ましてや真夏に戦争するなんていうのはほとんど不可能な話ですから、そうするとまた1年先送りと。冬の時期まで待たなきゃいけないという状況になってきます。
 そうなるといくらなんでも来年も戦争するかって言われれば、もうどの国だって「とんでもない」っていう話になりますから、この「2月、3月の開戦」といわれている時期を何とかこの日本も含めてですね、止めていければ、おそらく戦争阻止ということは可能だろうと。

 じつは去年の5月とか6月とかいう辺りはかなり私も悲観的でした。ただしその時やろうとしている戦争というのは、まさかイラクの崩壊まで狙うような戦争というのはあまり考えていなかった。しかしながら10月、11月、本当にこのイラクを乗っ取る、侵略をしようという戦争に急速にアメリカが傾いていくので、これは極めてヤバイなという割りと絶望的な感覚だったんです。
 ところが今になってくるとだんだんその絶望感よりは、やっぱり期待感というか本当に止められるぞというような感覚になってきています。それは世界の状況を(まあ日本の報道っていうのは、あんまりそういう部分で大事な所を報道してくれないんだけれども)、イギリスの新聞であるとか、あるいはアメリカやヨーロッパの市民運動が送ってきているニュースレターとかいったものを見ていくとですね、やはり大きく世界の動向が変わりつつあるということは感じます。

 それがやはり一つの、まあ暗い中でも明るい光明というふうに感じていますので、戦争はまだ本当に止められる時期にあるということで、何とかそのための努力をしていきましょうというのを最後に付け加えまして、私の話長くなりましたけれども、終わります。

いろりばたマーク

(終わり)


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