2002年10月17日(木)
第69回いろりばた会議録


文責:いろりばた会議事務局


東電人事の不可解・マスコミは寝ているのか!?…………菅井益郎さん
国、東電などの故障隠しのまとめと今後の運動の方向……山崎久隆さん


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東電人事の不可解〜
マスコミは寝ているのか!?
 菅井益郎さん(たんぽぽ舎アドバイザー、国学院大学教授)


浜岡1号に入った

 10月に浜岡1号機内部の視察に参加してきた。元々は裁判団が1、4号機の内部を視察を中部電力に要求したのだが、「係争中の相手には見せられない」ということで裁判と関わっていない人が視察することになった。視察できたのは、事故を起こした箇所と同構造の別の部分や既に撤去済みの部分がほとんどで、職員も被曝線量が増えるのを気にして急かすものだから早足での視察となってしまった。

TMIの現状

 13年前にアメリカのフィラデルフィアに住んでいて、その頃によくスリーマイルに行ったが、この8月にスリーマイル島原発を久しぶりに訪れた。
 現在アメリカでは原発の買収が盛んで、少しでも儲けが出る原発はどんどん買収されてすぐに会社が変わる。このスリーマイル島原発も運転が「GPU」社から「アマルゲン」社に変わっていた。ビジターセンターは「closed today」の看板が出ていたがじつは年中休みで、モニタリングポストも13年前から変わってなく、かなりおざなりで寂れた印象だった。
 メアリー・オズボーンさんの所にある有名な奇形のたんぽぽも乾燥して縮んできていた。以前、日本テレビ系の連中がこのたんぽぽを撮影して「こんなものは一切ありません」という、東京電力のいやらしいPRビデオを作った。抗議して結局そのビデオ5000本はお蔵入りになり、今手元に一本も残っていないが、一本くらい残しておけばよかった。
 ハリスバーグでスリーマイル島原発の被害が今も続いていることを訴えるラリーを2、3日やるという話だったが、被害と放射能の因果関係が認められず地元の人たちは苦労している。しかしまだ運動は続いている。

(東京電力ホームページより)
  取締役会長   荒木 浩  辞任し、顧問へ就任(9月30日付)
  取締役社長   南 直哉  辞任し、顧問へ就任(10月中旬)
  取締役副社長  榎本 聰明 辞任(9月30日付)
  相談役     平岩 外四 辞任し、顧問(非常勤)へ就任(9月30日付)
  相談役     那須 翔  辞任し、顧問(非常勤)へ就任(9月30日付)

<原子力関係者の処分>
  常務取締役           二見 常夫  取締役へ降格(9月25日付)
  取締役原子力本部副本部長    服部 拓也  減給30% 6か月
  取締役原子力本部副本部長    早瀬 佑一  減給30% 6か月
  取締役柏崎刈羽原子力発電所長  武黒 一郎  減給30% 6か月
  理事福島第二原子力発電所長   青木 四朗  減給10% 1か月
  福島第一原子力発電所長     松村 一弘 他13名 減給1か月

  上記の他11名について「厳重注意」、5名について「注意喚起」
                             (計35名)
東電人事の不可解

 今回の隠蔽問題で東電の幹部連中は責任を取って辞めるということだが、取締役上層部は原子力畑の一番の責任者の榎本氏を除いて、なんと辞めて軒並み顧問に就任するという。退職金も出る。
 雪印、日本ハムを擁護するつもりはないが、それに較べても全くおかしい。日ハムが徹底的に叩かれたことが東電はまったく叩かれない。これはマスコミ、特にうるさい週刊誌は何をしているのだろうか?みんな寝ているのではないか!?
 柏崎刈羽原発所長の武黒氏は1986、87年に福島第一原発の「保修課課長」、現場責任者だ。隠蔽を指示したとされる「現場の課長」というのはこの人ではないのか?

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、東電などの故障隠しのまとめと今後の運動の方向
山崎久隆さん(たんぽぽ舎、劣化ウラン研究会、@niftyボランティアネット)


榎本聡明氏

 2002年2月から資源エネ庁の総合エネルギー調査会の中で、原発に多少の損傷があっても運転しても構わないという「維持基準」の話が出ていて、6月に中間報告が出て法案になる前段階の状態だった。ここに今回辞任した榎本氏もいた。榎本氏はこの中で「原子力というのは閉鎖的な社会で、内緒で進めるようでは駄目だ」と言っている。榎本氏は同時にこの時、東電内部の調査委員でもあった。彼はさらに1996、97年には柏崎刈羽原発の「隠せ」と言った所長でもあった。時期に多少のずれはあっても、この規制、調査、現場の3役を兼ねている。

「維持基準」

 もし次の国会で「維持基準」案が成立すれば、その時点で過去にやったことは合法化される。「昔違法なことやったけど今はOK」ということで、記事にもならないということになる。過去にそういうケースが実際にあり、六フッ化ウラン輸送で必要な資格を持っていないのに輸送していたのを告発したら「今はもう持っているからOK」となった。今回はこのパターンを狙っていたのだろう。というのは、国は1年後の導入を考えていたらしいが、ここに来てこの臨時国会で緊急上程するという。
 現在の原子炉等規制法では建設時の基準しか定められてないので、維持基準を認めない限りは原則としてその基準を守らなければならないようになっている。PWR系でも圧力容器上蓋の亀裂を隠している節があり関電にも既に疑惑が出ている。このままいけば極端な話、日本中全ての原発を停めるという事態になる。
 アメリカを見習って日本でも維持基準を採用しようというように言われているが、アメリカではシュラウドには維持基準はない。日本でシュラウドの維持基準を作るなら世界で初めてということになる。シュラウドはひびが入っていいなんていうものではない。

国の責任

 国はGE社の報告により、少なくても今年の5月、早ければ3月にシュラウドの亀裂のことを知ったはずで、ここで運転停止命令を出さなければいけなかった。安全性に問題がある原発が動いていると分かったのに、それを止めてちゃんと調べようとしなかった。これが一番の問題だ。欠陥車が走っているのを知っていて放置したのと同じ事だ。それから今日に至るまで進行形とみる。
 今動いている原発に危険性があるにもかかわらず、それを調べてない。現在進行形の、これがもっとも重要で事故隠しだ。

定検短縮

 コストダウンが至上命題になっている現在、電力会社は原発が動いてくれればそのぶん火力を止められるので、定検を短縮していかに原発の稼働率を上げるかという方向に行っている。今回の事故隠しの背景もコストダウンに行き着く。
 アメリカの原発では運転中検査をやったり、一気に人数を掛けてギュウギュウ詰めの定検をし、ついに稼働率は90%を越えた。日本もそれを目指している。アメリカの定期検査は基本的に直営の従業員がやっている。しかし40、50代が多くて10年経てばいなくなってしまうという状況であり、遊軍を作って各地を回る連中が登場している。アメリカでは時間を掛けて定検合理化をしてきている。日本でも定検合理化はさらに進むだろう。

運動の方向

 東京の運動の側の方向性としては、まず維持基準の話以前に国がどこでどう絡んだのかを明確にしなければならない。東京では国、保安院を追及するチャンネルを作る必要がある。マスコミなどで「安全だ」という人には、どこがどう安全なのか、技術的にも問わなくてはいけない。そして福島や新潟の人たちにもメッセージを伝えていくことが必要だ。

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