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山崎 久隆

●大きな富の格差であるとか資源的な偏在、それから権力の集中●テロというのはふつうの正規軍の戦争などと何が違うのかというと、テロリズムという言葉の語源は「恐怖」ということから来るわけですから、実際にやらないまでもですね、それを行うことを予告する、あるいはそれを行うことができる能力があることを誇示する、そのことによって恐怖感を示し、それによって政府や権力者の制度政策などの変更を迫るというような政治手法のひとつとして、有史以来あるわけですね。
たしかにテロに−テロ論をやっていると時間が無くなりますが−、テロ自体が世界の歴史も日本の歴史もあるていど動かしてきた歴史的事実はあるわけだから、過去の歴史にさかのぼって特定のテロが良かった悪かったって論んじること自体あまり意味がないかもしれないけども、しかしながら21世紀になったわたしたちの現代においてはテロはすべて否定されるべきものであるとして、国際社会において共通理念を持っている。それはまあ大きな意味での大義名分としてはあるわけですね。だからテロリズムは否定されるべきである。
しかしながら問題はですね、テロの温床というか増殖させるものは何なのかというと、これは明らかに大きな富の格差であるとか資源の偏在、それから権力の集中、そういったものに対して抵抗する組織なり個人なりが生ずる。一定の社会的な秩序、あるいは社会的な構造ができれば、これはテロリズムというのはつねにどこの社会においても牙を剥くことがあり得るのは必然。
日本のように高度に、新幹線であるとか飛行機、空港−まあアメリカほどではないですけど−であるとか高速交通機関、あるいは原子力発電所、そういったものがたくさんあるところというのは、いわばテロリズムにとってみれば標的の山なんですね。そこが襲われるっていうのはある意味、向こう側の論理にしてみれば理の当然であると。
そのことを思い知ったのが、わたしは1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件だと、いうことが言えるわけですね。
●これは「日本国政府が」というふうに責任を投げるべきではないと●
ではそれに対してどう対処していくのか。これはもう、本質的な問題になるわけです。
で、わたしたちの選択として、オウム真理教の本拠地であった山梨県上九一色村を爆撃することではなかったわけですね。
そのことをやはり強く主張しておかなければならないし、また日本は世界にそれを強く訴える義務がある。わたしたちは上九一色村に対して通常の、まあ良いか悪いか別にして誤認逮捕とかそれからフレームアップ(でっちあげ)、いろいろありました。
けれども最終手段として武力の行使、自衛隊を突入させるなり砲撃をするなり、あるいは周辺住民を巻き込むような無差別的な攻撃ということは誰の支持も得られない、その当時であってもですね、得られなかっただろうし、それはまた国際社会においてもそういうことは誰の支持も得られないだろう。少なくとも日本は支持をしないということが大前提としてあるべきなんですね。このことを日本のダブルスタンダードという意味で言うならば、典型的なのが日本国内で適用している基準と国外に対して適用する基準がまったく違ってるっていうことが、ダブルスタンダードのいちばん大きな問題になるわけですね。ま、人権問題でもよく言われることなんですけど。
そして日本においては平和主義というのがある。日本国憲法に基づいて「日本は武力を使って他国を侵略しない」、それからまた「国際紛争の解決に武力を行使しない」と、いうことを憲法で謳った。
そのことは一国、まあ日本国憲法はとうぜん日本国内でしか適用しませんから、一国国内においてこう決めたんだということになればその次の義務は、国際社会においてそれを強く主張し、日本のスタンダードを−良いとわたしたち当然思っているわけだから−それを国際スタンダードにしていくという義務があったはずなのに、わたしたちはその義務を履行するのに多分失敗したんだろうと、いうふうに言わざるをえないですね。
これは「日本国政府が」というふうに責任を投げるべきではない。やはり「わたしたちが」というふうに言ったほうがここは良いだろう、というふうに思います。今回のこのテロリズムによって、アメリカは戦争に突っ走るぞと旗を振りはじめたわけですけれども、これに対してやられる側は、この場合だれがやられるのかっていうことはアメリカはまだはっきり言ってはいない。報道を総合するとアフガニスタンとタリバンとオサマ・ビンラディンという個人という名前しか挙がってこない。
こういうふうに宣伝というか公表していったおかげで、当然起きてきたのが、すでに300件以上のイスラム系と思われる人々への攻撃です。なかには誤認の例もあるんですが、嫌がらせ電話みたいのも含めてですね、アメリカ国内で起きてます。すでに2人が殺されています。ということは、やはり憎悪が憎悪を生む構造をアメリカ自身が作りはじめている。それはまず国内においてそれが発生したということを考えなければいけない。幸いにして日本国内ではまだそういうとこまでいってないですけれども、日本の国内でもこのままいくとそういうことが起こりうる。そういう危険性をわたしは感じているわけです。ここにたくさんの資料を持ってきました。5ページ目から先が資料です。4ページにアジア太平洋資料センター「PARC」の声明(「アメリカ「同時多発テロ」事件についての声明 −軍事報復戦争をするな、人種・宗教差別をするな−」)です。日本の市民団体でいまわたしが知ってるかぎりのところで出てきた、出典はインターネットのPARCホームページです。日本の団体の中で代表的に紹介しました。
6ページ目はいまアメリカの置かれている現状ということでの論説(「新しいタイプの戦争だ」:チョムスキー)です。それから7ページ目に続いて8ページ目(「報復計画に不支持の意志を」:Tさん)ですね。Tさんという方はこのいろりばた会議にも来たことがたぶんあるはずで、西暦2000年問題でも一緒に活動した人です。たまたまニューヨークにいまして、で、テロがあった日は別の場所にいたんですけれども直前までいたというところでのアメリカのその時の印象と、それから小泉首相宛てにですね、メッセージを電子メールで送ったという取り組みをしたのでそれを紹介しています。
ついでに小泉首相宛てのアドレス(koizumi@mmz.kantei.go.jp)も書いてありますんで、電子メールを送れる方は送ってみてください。それから次がですねえ、「イスラム対西欧」というそういう対立構造、これはまあよく文明の衝突などというような、そういう言い方をしているわけですけれども、今回のケースに関して「イスラム対西欧」というような価値観の対立というような見方をすること自体が間違いであるということの論説として比較的代表的な論説(「「イスラーム」と「西欧」というのは不適切な標語である」:エドワード・サイード)です。これもしゃべってると時間がなくなっちゃいますんで飛ばしますんで、あとで読んでください。もともと英語なんで日本語にしたらなかなか難しい面はあると思いますが、それでもまだ分かりにくい文章ではないと思います。
●そこまでいってしまえばもはや歴史は変わってしまう●
それから12ページ目。これが問題なんですけれども、ラムズフェルド国防長官はついに核の使用をですね、否定しないという姿勢を見せています。
じつは初期の頃−9月11日に事件ありましたが−、12日、13日あたりのCNNや各放送がパウエルであるとかラムズフェルドなどの言葉を送ってきた時には、核の使用については「そこまではいかない」というようなことを言っていたんですね。ところが16日段階になってくるとですね、そのトーンがだんだんだんだん変わってくるわけですね。
09/19 07:59 共: 戦術核使用を選択肢に 報復作戦で米国防総省 |
もちろん「使う」とは言ってませんけれども「使わない」とも言っていない。ま、アメリカは常に核の使用、不使用について明確に発言をする国ではないんですけれども、しかしながらかつて、−テロっていうのは犯罪ですから国家間戦争とは別なカテゴリーなわけですね−テロに対して核兵器を使うなんてことはおよそ考えられなかったわけです。どんなひどいテロであろうとも。
それはテロ組織っていうのは国家でもありませんから、国防という意味にかんして言うのならば、核兵器、最終的な手段を使って排除すべきものでもないし、また逆に言うと核兵器を使うことで、相手の国にダメージを与えて戦後交渉をやろうと思っても、テロリストが相手ですとそんなこともできないわけですね。したがって核兵器を使用してしまったあとに何が残るかといえば、その兵器を使っていったい何が達成されたのかっていう目標評定って言うんですか、それすらできない。そんなものに核兵器なんて使えるはずがないというのが通常の、これまでのですね、アメリカの軍事戦略の基本にあったわけです。
ところが最後の手段としての核兵器を排除しなかった。ということで、ま、これは前から「ask for War」っていうことで「戦争状態」と言っていたわけですけども、この段階になってついにアメリカは「戦争」と、「状態」を取ってですね、事実上の戦争という態勢に入ったというふうに見なすことも可能です。どこまでいくかはわかりませんが、そこまでやる可能性ありと、いうことになるとですね、これはもう、わたしが歴史が変わるという言い方をしたのはそういうことです。アメリカの国家戦略、核兵器戦略そのものも変わってしまう。
アメリカの戦略の中に「テロ対策」っていうのは当然入ってます。これは低強度紛争((LIW)国家規模にならない武装集団との衝突、軍事攻撃、侵攻、排除あるいは敵対国家の後方攪乱や中枢機能の破壊などを行う。米国の軍事教範による定義。陸海空海兵の特殊部隊を使い、特殊作戦を展開することが多い。見えない戦争とも呼ばれる。高強度紛争は米ソ核戦争などを想定し、中強度紛争は例えば湾岸戦争などを想定)に対する対策として特殊部隊を送るだの、あるいは向こうの背後組織の中に入って後方撹乱をやるだの、あるいは周辺国とタイアップをして資金を断ったり武器の供給を断ったりするだのと、ま、いろんなことを書いてあるわけですけれども、こういう大量破壊兵器を使うとはもちろん書いてないわけですね。
しかしながらこの段階になってくるとそのドクトリンというか、その低強度紛争の対応手段を踏み越えてしまうということで、非常に重大な問題です。もし、本当に使うということはちょっとわたしは考えたくないですけれども、そこまでいってしまえばもはや歴史は変わってしまう。という構造になるわけですね。当然どういうことになるかといえば、テロ組織が公然と核兵器を持つことが、合法ではありませんけれども、口実を与えることになるわけです。
現時点でテロ組織が核兵器を持ったことは確認されてはいません。国が持ったっていうのは当然確認はされていますけれども、そういう任意組織というか、NGOというか−NGOって言うと変ですけど−非政府組織ですね、非政府組織で核物質を入手しようとした形跡はいっぱいあります。これはまあ何の意味があるのかよくわからないですが「劣化ウランを数グラム」とかいうのに始まってですね、使用済み燃料や、あるいはプルトニウムといったレベルまで入手を試みた、というケースはあります。
しかしながらそれはあくまでも核兵器ではなく、放射性物質の段階にとどまるわけですね。ところが、ここまでアメリカが本当にこのテロに対して核で対抗するということになれば、テロ組織の側はそれに対抗して核兵器まで突き進んでしまう、という未曾有の事態になってしまうということを意味するわけです。
●半分本気、半分冗談で言いますが、世界最大のテロ国家はアメリカだというふうに思ってます●
12ページの下から次のページまで、これは「報復は報復を呼ぶ」ということで歴史学者のハワード・ジンさんの文書です。この中に言っているのはアメリカの過去のテロ、まあこれはわたしは半分本気、半分冗談で言いますが、世界最大のテロ国家はアメリカだというふうに思ってます。それはいろんな意味がありますけれども、過去の歴史的なものもあるんですが、1970年代ぐらいまでアメリカは敵対勢力要人をCIAなど使ってさんざん暗殺をしています。
<ビンラディン氏> |
有名な例ではチリのアジェンデ社会主義政権が倒された(1973年9月11日、CIAの援助を受けてピノチェト将軍がクーデターによりアジェンデ社会主義政権を倒す)時にCIAが後ろで動いたということが公開された公文書で明らかになっています。その他にも中南米では、CIAは大量の軍事援助とコマンドの訓練を行っています。有名な例としてはニカラグアのサンディニスタ政権を攻撃し続けた右翼テロ組織「コントラ」の訓練キャンプはCIAによるものです。また、「コンドル作戦」といわれる中南米各国の軍事政権が行った、労働組合活動家や左派活動家を狙った逮捕、監禁、誘拐、拷問、虐殺を行った事件もCIAの支援によるものです。「これはいままでずっとそう言われてはきた」のだけれども、まあ言ってみれば証拠がなかったんですが、CIAなどの諜報機関がそういう陰謀にことごとく関与しているということですね。それから最近韓国の研究者が米国公文書館で、韓国の独立運動を推進していた金九(キム・グ)氏が1949年に暗殺された事件については、米軍の防諜部隊CIC要員によるものであったことを示す文書を発見し、米国が韓国単独独立を進めていた李承晩政権を維持するため、統一朝鮮独立運動を進めていた金九氏を殺害したことが明らかになっています。
米ソ冷戦構造のもとで、世界各地の紛争には常に両超大国の影がつきまとっていました。第二次大戦後、もっともテロリズムをやってきたのがアメリカとソ連という現実は、もはや隠しおおせもないこととして明るみになりつつあります。9月11日のテロに対して戦争だ戦争だと叫んでいるっていうのは、国家というレベルにかんして言うのならばもはやそれは、自業自得と言うと死んだ人にあまりにも酷なので言いませんけれども、そういう国家にとってはそういうことになってしまうのではないか。これは警鐘ですね。
●離れた南部の町のなかの方が治安状態というんですかね、それは悪化をしている●
最後の14、15、16ページはですね、これはアメリカからの報告(「アメリカ(アトランタ)から現状報告」)とそれから日本のキリスト教団体である「日本バプテスト連盟」の声明(「米国における同時多発テロ事件に関する書簡」)です。いま、バプテスト連盟だけじゃないと思いますけど、日本のキリスト者というのはある意味でかなり苦悩してるっていうか、そういう感じですね。なぜならばアメリカはこの今回のテロに対しての追悼ということで、宗教、当然キリスト教会が追悼集会をやるわけです。
ところがその追悼集会の場が、いわば復讐を果たす場になりつつあるわけですね。参加者みんながアメリカの国旗を手に持って振るわけですね。あんなの見てると昔の日の丸提灯行列とか日の丸の旗振った1945年以前の光景しか想像できないんですけど、アメリカの国家的な団結ということでそういうことをやっている。それを教会の中にも持ちこむわけですね。
宗教と国家主義が一体化をしようとしている、というのがいまアメリカに起きている状況です。また、これは州によって地域によってそれぞれかなりばらつきはあるようです。ただ、ブッシュの出身地であるところの南部は、もともとそういう保守的な地盤ですから、そういうところにはかなり厳しい状況になってきている。アラブ系の人は危なくて外も歩けないっていうのは、やはり南部の方はそういう状況になっているんですね。
逆にニューヨークなど被害を受けているところは、むしろもともといろんな国の人たちがいた、いわゆる「人種のるつぼ」といわれているところで、ニューヨークの街ではむしろそういうことは逆に少ない。というのは今回の犠牲者見ていくと、多国籍に渡るんですが、メキシコであるとかペルーであるとかバングラデシュであるとか、そういう国々、いわゆる先進国ではないところの国々の人たちが多いんですね。彼らは中では金融取り引きやっていた人ももちろんいるでしょうけれども、ビルの清掃であるとか、消防士であったり、あるいはレストランで働いていた、なかには不法就労状態、つまり米国の正規の入国ビザを持っていなくって不法就労していたために現実に身元や、あるいは何人行方不明になってるかすらわからない−これはフィリピン系に多いらしいですね−というような事態まで引き起こしている。ようするにテロが引き起こしたものというのはそういう現実だったわけですね。
そういうのも当然、ニューヨーカーはかなり分かっていますので−その現地においてはもちろんアラブ人も死んでいる−、そういう現地においてはなかなかそういうことは起きないんだけれども、むしろそういう場、「グラウンドゼロ」と言っている「爆心地」よりも、離れた南部の町のなかの方が治安状態というんですかね、それは悪化をしているという構図になってしまっている。そういう情報は日本の新聞にはほとんど出てきません。これは現地の、いわば、反戦系の運動をやっている人たちが情報を拾ってインターネットで流しています。
現在、情報では、そういう流通ルートが多いですね。アメリカの「ニューズウィーク」であるとかそういった大手のメディアもその部分には全然踏みこんではいない、というのが実態です。
●米国内の組織が主導権を握って実行をおこなったということを、むしろ考えた方が自然ではないかと●
もうひとつ言うとですね、このテロ事件そのものが、アメリカは「タリバンの庇護にあるオサマ・ビンラディン」がやったということにしているようですが、そのこと自体がわたしは、全然ウソだとは思いませんけれども怪しいと思います。これだけのテロをそのオサマ・ビンラディンの一派だけが起こすなんてことはほとんど不可能に近い、むしろこの事件を主導的におこなったのはアメリカ国内のネットワークであろうと考えるのが自然ですね。
つまりもともとアメリカ国内で活動していたテロ組織ということになればですね、これはいろんな背景があるんですね。例えば1995年にオクラホマの連邦ビルを爆破したのは、これは右翼の青年がやったことでした。今回はそうではないだろうけれどもそういう可能性もあるわけです。それから「アラブテロネットワーク」なんていう単一の組織は、そもそも存在しないんですけれども、仮にそういう言い方をするとしても個別の背景はもう多岐に渡るんですね。で、テロ組織っていうのはですね、主義主張はもうかなりハッキリしてますから、別の目的のために団結をして闘うっていうことはあまりしません。
世界でも、まあパレスチナ系なんかもそうですけれども−パレスチナ系ゲリラっていうのは昔からたくさんあったわけですからね、分派分裂を繰り返すわけですが−一緒になってイスラエルを攻撃したなんていうことはほとんどないわけです。テロなんかやる時も、まあ自爆テロなんかをやる時もですね、まあいま有力なのは「ハマス」(反イスラエル武装闘争を続けるパレスチナのイスラム・スンニ派の原理主義組織。イスラエルに対する自爆テロを繰り返してきた)という組織だと言われていますけれども、それもよくわかりませんが、そういったところがやっていても他のじゃあPFLP(パレスチナ解放人民戦線)の軍事組織なんていう人たちは自爆テロはしないわけです。連帯してやるっていうことはまずないですね。それぞれの政治状況が微妙に違っただけで、テロ組織のなかのそれぞれの考え方っていうのはかなり異なりますからそれで同調はしないんですね。非常に周波数帯の狭い集団というふうに考えればいいわけです。そうすると、これだけ巨大な組織的な行動をするということになれば、そういうテロ組織がいくつか合体をして何かやったっていうようなことを考えるのは、従来のテロの組織実態から言うならば非常に難しいことになるわけです。
したがってどういうことになるかというと、単一のかなりまとまりのある米国内の組織が主導権を握って実行をおこなったということを、むしろ考えた方が自然ではないかと。全く怪しまれずに空港に入り飛行機に乗っている。いくら「人種のるつぼ」アメリカとはいえ、いきなり外国から来たアラブ人が何の怪しまれもせずに10何人も空港に集まってですね、2機の飛行機を乗っ取ったなんていうのはどんなに警備が緩んでたって、わたしにはちょっと想像がつかないですね。そんなのあり得ないっていうふうに言った方がいいと思う。
同時に4機の飛行機をハイジャックできてしまうっていうのは、彼らの組織がその社会にほんとに溶けこんでいて誰も疑うような雰囲気ではないということしか、まず考えられない。だからアラブから大挙入国をしてテロをやってなんていう話はわたしには荒唐無稽にしか感じられない。日本に10何人のテロ容疑者が入国した可能性があるなどという情報がつい最近流れてですね、なんか入管あたりがパニックになってるようですけれども、それもわたしにとってみればそんな荒唐無稽な、ということで単にこれはアメリカ諜報機関が日本に探りをかけてるだけだろうと、いうふうに思います。
もっと言うならばアメリカはある程度テロの予兆をつかんでいたっていうふうに言われてますけども、それにしても疑わしいもんであると。テロ警報なんていうのはしょっちゅう出ているんですね。しょっちゅう出てるから航空会社なんかもかなり慣れっこみたいなところがあります。
したがってその諜報機関が、情報機関がですね、そういった情報ををつかんでいたっていうことすら、わたしは後になって言い訳してるだけにすぎないんじゃないかというふうにすら思うくらいに今回のテロはほんとに影がない、見えないところで起きた、ということが重要です。まあ、とりあえずでもオサマ・ビンラディンを犯人だと名指しをして、タリバンに空爆をすると、拳を振り上げたアメリカはこれから何もしないで静かに終息をしていくとは到底思えないので、在日米軍ももう動いてますし、それから大量の武器弾薬を積みこみ始めました。したがって今週中には中東に向かって大艦隊が出撃をしていくことになるでしょう。
すでに中東に2隻の空母機動部隊が展開をしています。ディエゴガルシア島(インド洋の真ん中にある珊瑚礁の島。英国領だが米国が借り上げ、軍事基地にしている。湾岸戦争でも爆撃機の出撃拠点となった)とインド洋の基地にはすでに大量の航空燃料が輸送しはじめられていて、そこには戦略爆撃機B2やB52、あるいは支援空軍機が展開をしようとしています。こういう構造ですから、ま、長ければ数10日間のブランクはあるにしても、何もせずにそのまま引き揚げてくるということは考えにくい。
だからこそ今わたしたちは、アメリカに対して自制をというか、そういう形では問題は解決をしないというようなことをですね、言っていかなくちゃいけないし、それから日本政府に対してはそのような愚劣な手段でもって国際的なテロに対処しようったって、そんなものは全く悪循環しか繰り返さない、ということをやっぱり言っていかなければならない。9月20日には、こちらにビラが回ってますけれども、参議院会館で集会があります。17日には集会(国会に向けた集会とデモ。400人参加)がすでにおこなわれまして、それで大勢が集まっています。やはり戦争が身近に迫ってるっていう危機感はみんなのなかでかなり共通のものとしてあると思うんですけれども、もしほんとにこれから戦争が起きるとすると、20世紀の戦争とは全然違う構造になっていってしまう。アフガニスタンにソ連が侵略(1979年。ちなみにこの時アメリカはイスラム原理主義勢力のゲリラを援助した。ビンラディンもここに参戦しCIAの援助を受けている)をした時にはアフガニスタン国内戦という構図ですから、まああのエリアの中になるわけですけれども、今度は同じアフガニスタンの中といっても、どこと戦争をやってるか実体のわからないところとの戦争になる。
しかも今回テロを仕掛けた者はアフガニスタンのタリバンとは縁もゆかりもないかもしれない。そういう人たちがやったのだとすれば、無傷で温存されたテロ部隊が、アメリカやあるいはいろんなところでですね、撹乱をするっていうこともあります。ということになると、全世界がいわば戦場になる。第2次世界大戦は前線と後方の境をなくした近代戦のなかでもっとも悲惨な戦争だったわけですね。それで広島、長崎の悲劇を生むわけですけれども、もし21世紀の戦争がテロ対、えー、ま、テロ対国家というのかな、そういうような構図になっていけばそれにも増してひどい戦争になっていく。最前線は一発も銃弾が飛ばないのにいろんなところで爆弾テロであるとか、そういうことが多発をするということになりかねないわけですね。
で、それを加速させてるのがブッシュのやり方、ということになるわけです。
●本気で考えなければいけない時代が来たんだと、いうことを唯一言ったテレビ局があったんです●
ほんとの背景っていうか、この9月11日の事件にしてもほんとの背景ははっきり分かってるわけです。それは何かというと、国際的なグローバリズムであるとかそういったいろいろな動き、国際金融資本がやったことであるとか、ヘッジファンドがやったことであるとか、いろんな国の経済を破綻に追いこんだわけですね。あるいは食料を収奪していったわけですね。貧しい国とアメリカなどの富める国の差が大きく開いていくわけです。
京都議定書離脱の時の主張でも、アメリカはこれからもどんどんエネルギーを使っていくんだ、10年間で30%エネルギー消費量を増やしていくと宣言をしてるわけです。それで京都議定書から離脱する。これが何を意味するかといえば、端的に言えば「世界中からエネルギーを収奪して、アメリカ一国の繁栄を謳歌するぞ」と宣言をしたに等しいわけです。こういうことが積み重なっていってテロの温床になっていく。ということなんですね。その中でわずかに救いがあった番組がありました。これはテレビ局名忘れちゃったんですが、アメリカのテレビ局です。この事件が起きたことによって、アメリカはもはや20世紀のアメリカ的生活はできないかもしれない。これからのアメリカの市民社会の生活は資源にしろ食料にしろ、そういったものをやはり世界的な目で見て、どれだけ消費していけるのか、どれだけ世界のみんなとそれを共有していけるのかというのを本気で考えなければいけない時代が来たんだと、いうことを唯一言ったテレビ局があったんです。
ところがその声はブッシュの「報復だー!」の声にいまかき消されてしまっている。そういうことをやっぱりもう一回、原点に帰ってわたしたちは言っていかなくちゃいけないというふうに思います。
以上で終わりです。

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