第45回いろりばた会議録 200022日(土)>
 
                                          柳田さん
 

「地震と原発を考える」  山崎 久隆さん

<沖縄サミットについて一言>

○開発と援助、環境保護とエネルギー問題が最重要課題であるにも関わらず、IT革命(物作りではなく、情報化したデータをどれだけ広範に高速に広めていくか、それによって理財をかせぐという世界のマネーゲーム→世界で最初にアメリカの証券企業が行ったがこれはアジアの経済破綻の引きがねとなった。)の話題に終始している。

○ロシアはシベリア地方の莫大な量の天然ガスを中国、日本に売ろうと目論んでいるが、昨今の朝鮮半島の緊張緩和により、日本までパイプラインが一気にひける可能性もでてきている。しかし、報道によると相変わらず北海道電力・中部電力は地元をたきつけて原発新規立地を画ろうと躍起になっている。これは、現在30%である電力の自由化の枠組みを越えてしまえば、莫大なコストのかかる原発は建設不可能となるので、今が最後のチャンスだと考えているからだろう。

<地震と原発>

最近地震が頻発している。7月21日、茨城県沖で震度5弱という地震が起きたが、この影響で、目下試験運転中の東海再処理工場でボイラーの緊急停止事故が発生(数時間後に再起動)、福島第一原発6号基では原子炉の手動停止を余儀なくされた。(蒸気を水に戻す復水液からは、放射性物質を含むガスが発生する。それを放射性濃度が下がった状態にして大気中に放出しているのだが、地震後急激に廃棄筒の空気の流量が約6倍に増えた。その結果として、ポンプや処理機構が処理不能になって放射能の一部が大気中に漏れ出てしまう恐れがあり、運転を継続するのは危険であると判断したため。)

あきれたことに、東京電力は空気の流量が増加した原因を「おそらく地震の振動でどこかの配管のつなぎ目が緩み、空気が流れ込んだのだ。」と説明している。この程度で配管が緩んでしまうのなら、震度7の地震では配管はばらばらになってしまうであろう。阪神・淡路大震災以降、原発の地震対策は万全である、と繰り返し説明されているが、これがいかに信用できないか明白になった日本の原発が震度5クラスの地震にさらされた経験は過去に56回程度しかなく、その半分以上において何らかのトラブルが発生している。「東海地震」地帯に立地する浜岡原発の原子炉がすべて廃炉になるより前に、必ず「第6期(東海地震発生の一週間くらい前)」に至るであろう。三宅噴火後、神津島、新島周辺でMクラスの地震が頻発していて、これは「第期」に相当する。一番危険なものは炉心にある燃料や炉心から取り出したばかりの燃料であって、これを六ヶ所村に輸送するには少なくとも2,3年程度冷却しなければならない。浜岡原発を今すぐに停止し、来るべき「東海地震」に備えるのであれば対策方法はあるのだが、「第5期」に入ってしまってからでは間に合わない。地震により原発が破壊された際、メルトダウンという最悪の状態を避けるためには海水をかける方法しかないが、この際やはり大量の放射能が流出し、大量の被曝者が出ることは避けられない。中部電力に対してこの危険性を訴え、原発を停止するよう働きかけていくしかないが、今のところ中部電力・太田社長は浜岡で5号基を建設中のほか、芦浜の代替予定地を探しているのが現状である。

<その他―原産会議>

 石原都知事が「東京湾に原発を」という思いつき発言をした。それを受けて原産会議は東京近郊に建設できる原発検討会を作ることにした。水さえ入っていれば自然循環で冷却が維持できるような設計の原子炉でかつ(都市近郊に建設するので)廃熱利用もできる、さらに土地代が高いので「いかだ」の上に作るという、ものである。

 こんなことを検討するくらいなら、東京に核のごみすて場を作ることを真剣に考えたほうがまし、高レベル放射性廃棄物を青森の人に押し付けている場合ではない。


 

「反原発運動をもりあげるには―提案」   柳田さん

(1)核燃料サイクル阻止一万人訴訟原告団―平野良一さんの提案
 「国策」への協力として核燃立地が推進されている以上「国策」を変更させる以外に、反核燃運動は終わらない。原子力関連施設の立地点では、保守的な血縁関係のほか、交付金等の麻薬効果もあって全県的な反原子力、脱原子力を確立することの可能性はきわめて小さい。しかし、消費する大都会では、先の総選挙が証明したように、政策立案へ影響を与えうるような結果を導くことは可能である。
  政権交替によって政策の骨組をかえる、国策変更に結びつくような強固な運動を都会住民が構築することが必要だ。
(2)「夏のバカンスで原発を止めよう」 右島一郎さんの提案
   日本の発電設備容量は余っており、火力・水力で足りなかったのは98年は真夏のたった12日間である。このことから反原発運動は「夏の間ちょっとクーラーを我慢すればいい」論に向かいがちだが、これだと浪費されている生活を変えようといううったえは大事だが、結局悪いのは自分たちということになってしまう。政府・行政・企業という「外側」にむかう運動、すなわち「不必要なものをむりやり使わせられているために危険にさらされている」という事実をうったえることが必要である。
   日本人は働き過ぎ(1年間でヨーロッパ人の約1年半分働かされている)、そして大量の電気を消費しているのは実際、家庭ではなく大企業である。夏にバカンスを十分とり(労働運動の課題→時短で失業をなくそう)、安全かつゆとりのある社会を作ろう。
(3)反原労(反原発労働者行動実行委員会)の提案
   毎月1回通産省前で反原発のビラを撒きつづけて10数年の、少数だが息の長いグループである。また東電本社でビラ撒きをしたI.Aさんの例もある。


柳田さんの提言

  地震による原発大事故、またはその他の事故が今後10年間に起こらないとはもはや言いきれない。この迫りくる破滅的事態を全力で阻止したい。そのために、国策に抗するには相手方を分析するばかりでなく、市民運動側の長所や弱点を分析することも必要であろう。

  1 東京の運動の重要性

  東京の市民運動は盛り上がりに欠ける。東京には全ての本社・政府があり、例えばここでしか手に入らない資料・情報を現地に即座に(スムーズに)提供するなどの協力がもっとできるはずである。
  2 反原発運動の歴史を学ぶ。
  反原発運動の前進のため(同じような失敗を繰り返している例もあるので)にはその歴史を総括する必要性がある。またドイツの緑の党を中心とする市民運動や巻町の住民投票の歴史についても教訓として学ぶ必要性がある。
  3 市民運動・社会運動のグループそれぞれの実情をある程度共有化して知っておく。 

  4 共同目標と具体目標の確定。  

  5 環境保護運動や核兵器廃絶運動とも連帯して運動を盛り上げる。

   6 人間関係の大切さ(セクト主義をなくす)。

   7 いろりばた会議を、これまで以上に実際の運動につなげる場、討論の場にしたい。


 

「日本の原子力の今―なぜ日本だけが核燃サイクルなのか」
  槌田 敦さん

スリーマイル事故の影響でアメリカは原子力から撤退したと一般には考えられがちだが、実際は、逆で、約20年前に撤退しようと決めたその影響でスリーマイル事故は起きた。その後は新規立地はなく、石炭を経てカナダ産天然ガスによる発電を行っている。

ドイツはそれより20年遅れで撤退を決めた。平均32年で廃炉にする、という経済的損失が一番少ない方法で廃止を決定した。

日本も最近の発電所は天然ガス火力になっている。不況で頓挫した例もあるが、「使う所で発電できる」天然ガス火力発電は普及してきている。例えば、横浜火力の7号基・8号基の出力は合計280万Kwである(黒部の水力発電所は38万Kwである)。天然ガスは出力を大きくでき、ジェットエンジンなので動かしたり止めたりするのが自由であるという利点がある。世界中で電力源は天然ガスに変わろうとしており、その上「電力の自由化」という問題もある。火力コストはKw/h4円〜6円であり(+送配電費用で消費者には20数円で売られている)、一方女川原発は14円である。電力会社自身も原発をやめたいのが本音のところだろう。それでは、なぜ日本は撤退しないのだろうか。

核燃サイクルは高速増殖炉と併用してはじめて意味をなす。高速増殖炉は実際のところエネルギー問題ではない、軍事問題なのだ。高速増殖炉からは核兵器を造るのに非常に高品質の濃度96%以上のプルトニウムを得ることができる。(濃度が94%以上のものを軍用プルトニウムと呼ぶ。)軽水炉の濃度30%程度のプルトニウムからは原爆は製造できない。爆発はさせられても、輸送はできない。常陽からの99.7%という高品質のプルトニウムが現在30Kg日本には存在し、これを再処理すると軍用になる。

イギリスは日本に東海原発を売り、日本でプルトニウムを生産させ、自国の再処理工場で原爆を製造していた。フランスは高速増殖炉のプルトニウムから製造した核兵器をもっていて、アメリカ、ドイツ、イギリスは、それによる核実験を認め、そのデータを手に入れた。

現在日本は高速増殖炉もんじゅの運転の再開をもくろんでいる。そしてもんじゅからのプルトニウムを、東海村の核燃サイクルに附属する現在建設中の(1200億円という予算をかけている)RETFで再処理しようとしている。つまり、日本が軍用プルトニウムを確保しようとしていることは明白だ。これが原発を止められない真の理由である。仮にコストがかかりすぎるという理由で原発を廃止し、もんじゅだけ続行すれば、真の目的が内外に明らかにされてしまう、という不都合が生じる。その一方ドイツは、EUの成功のおかげで高速増殖炉路線をやめられたため、原発もやめることが可能なのだ。すなわちフランス(高速増殖炉路線をやめたわけではない、それによる発電をやめただけである)が核兵器材料を保持していて、その他核実験その他のデータは必ずドイツにも渡されることになっているからだ。

泊・島根など新しく建設しようという動きがあるが、これらの原子炉はもうすでに注文され製造されている、と推定される(女川がいい例だ)。流れとしては日本も原発を建設しない方向に進んできている。しかし、ドイツのように32年で廃止するという計画で運転を続けるのと、日本のように無計画に続行するのでは、「事故」の点で大きな違いがでてくる。今後さらに事故の危険性が高まってくるであろう。原発はスリーマイル島原発のように撤退の時期が一番事故がおこりやすいのである。例えば、日本原電(電力会社の子会社)は自由化の影響で電力コストダウンのために部品を発注している東芝・日立に、「半値にしろ」と要求している、それに答えるためにはメーカー側のさまざまな手抜きが考えられる。また、当初、運転管理は電力会社ではなくメーカーがしていたのだが、(メーカーはガスタービンの開発に力を入れるようになって、人員を引き上げてしまった)現在では電力会社が自前の管理会社に行わせるようになってきているトラブルに正確に対処できるのだろうか。

JCO事故は日本の原子力の水準の低さを露呈した。事故の10分後に「臨界」を発表したが、その後時間それが継続していると判断できなかった、専門家がいないということだ。(これは初期の専門家にとっては大変初歩的な知識である。ガンマ線の状態で臨界の継続・終息はわかる。)大学の原子力工学科には学生は集まらず、これから専門家が育つことはない。美浜原発(加圧水型原子炉)の事故はECSポンプの能力がない、水位計がないために起きた事故であるにもかかわらず、それが議論されぬままになっている。加圧水型の原子炉は今後もスリーマイル島原発のような事故を起こす可能性がある。

原子力の事故には放射能の事故と放射線の事故がある。放射能は呼吸で体内に入るのが一番恐ろしい、放射能は煙り様なので、濡れタオルで結構防げる。原発事故がどういうものになるかということについての、放射能対策をしなければならない。

もんじゅ訴訟ではもんじゅは平和利用を口実にしている、軍用炉であるという点をふまえて議論するべきではなかったのだろうか。


 
 
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