第43回 いろりばた会議録 <2000年5月24日(水)>

 

「7つの祈りの歌」に歌詞をつけてください。     望月 彰さん
 

 「日本原発のアジア進出」  宮嶋 信夫さん

<原子力市場としてのアジア>

   アジアにおける現在の原発運転国は、台湾・中国・韓国であるが、今後の世界の原発新規立地の3分の1がアジア諸国(タイ、ベトナム、インドネシアなど)であり、アジアは短期間のうちに世界最大の原発成長市場となる予定だ。
<日本原発業界のアジア進出とその戦略>
   現在、日本原発業界は、反原発運動の活発化・立地難のため国内での原発建設計画を大幅に縮小せざるをえず、アジア市場への進出を図っている。また、縮小する原発市場のもとで世界の原発メーカーの統合・再編が進んでおり、低コスト・大型炉を開発した企業(三菱重工、日立、東芝など)は世界の原発市場の制覇を画策し、海外事業会社を設立している(日立・東芝の合弁会社)。そのほか、大幅に縮小された原発建設計画のために余剰となった技術者を、原子力技術の温存・継承の目的で火力発電のエンジニアリング業務で活用していく計画もある。
   原発業界人や原発官僚は、韓国・台湾と毎年恒例の原子力安全セミナー・原発見学・原発製造工場視察を行って密な協力関係を築き、また東南アジアの諸国に対しては通産省はODAの提供国としての大きな影響力をもっている。しかも日本の重電企業はアジア諸国での多数の火力発電を建設した実績を誇っている。
   チェルノブイリ事故後の1990年、日本原子力産業会議により「東南アジア原子力協力代表団」が諸国に派遣され、日本政府の外交的、財政的支援を約束した。また同年日本政府によるアジア地域原子力協力国際会議が開催された。これらの活動は 
1、原子力開発利用計画の中の「国際協力」項目の実施 
2、原子力先進国としての日本の責務を果たす 
3、開発途上国への協力 
 
という政略的意図のもとに行われているが、アジア諸国からの期待は大きく、原子力資機材の輸出のための環境を整備することや人材(技術者)開発への協力が求められている。そのため、国家資金によりインドネシア・中国その他のアジア諸国から多数の技術者を招待して研修を行い、また専門家を現地に派遣して技術指導にあたらせている。
<原子力産官複合体>
原子力産業が官庁と密に結びついていることは周知の通りであるがその具体例を以下に挙げてみたい。
1 原子力委員会に対して「国際協力政策」の提言を行ったのは「原子力産業会議」である。
2 総合エネルギー調査会の原子力部会委員は、ほとんどが原発業界人である。
3 アジア地域原子力協力国際会議は事実上、(政府ではなく)原産会議によって運営されている。
4 政府の原子力予算は年間5000億円であり、電力会社の原子力発電投資は2兆円にものぼる
5 チェルノブイリ事故後に、政府は通産省・科技庁の広報予算を増大し、その予算を財源としている原子力文化事業団やその他の原発団体へ広報を委託している。
6 大学の原子力工学科では、文部省の原子力予算で研究活動を行っており、原発業界と交流し、原発産官グループとして閉鎖的サークルを形成している。その構成メンバーが、原子力委員会や総合エネ調原子力部会のメンバーに就任している。
7 通産省は国内原発産業振興に努め、貿易拡大政策として原発輸出を奨励している。
<今後の反原発運動の方向性>
   原発の東南アジアへの輸出は、「戦前の植民地支配と同様の行為である」と、輸出先での周辺住民から激しい反発を受けており、日本のアジア諸国に対する資源収奪、環境破壊、経済的収奪、軍事的な統合戦略の一部と位置づけられている。今後はますます世界の環境団体との情報交換を密にし、アジアでの原発推進が引き起こしている事故や被害を世界に発信し、世界の潮流から外れた日本政府の原発推進・プルサーマル計画を阻止していきたい。

 

 「特定放射性廃棄物の最終処分法案に反対する」

    東井 怜さん・山崎久隆さん
   「特定放射性廃棄物」とは高レベルガラス固化体放射性廃棄物のことであり、これを「地中深く」に埋め捨てるための法案を、政府は国会解散を目前にして成立させようとしている。地中深く、とは当初の予定では「500m〜1000m」であったにも関わらず、法案では「300m」になっている。約100年の歳月をかけて、そこへ縦穴や横穴を堀り、2015年までに発生する予定の約4万本ものガラス固化体を並べていく、という計画である。(すでに最終処分地として幌延、下北、東濃、人形峠などが意識されているようである。)政府はこれを「400年にもわたる大事業」と見積もり、その経費は今後原発で発電した電気を使用していく個人や企業から徴収するという。
   国も電力会社も放射性廃棄物の処理問題を、長年後回しにしてきたのだが、いよいよ取り組まざるをえなくなり、「核のゴミ3法」(.原子炉解体に伴って生ずる放射性廃棄物の9割を、非放射性廃棄物と同様に取り扱えるようにするための法令 と .使用済み核燃料の貯蔵・保管を、電力会社以外の事業主でも、原発敷地以外でも行えるようにするための「中間貯蔵施設」づくりに必要な法令)として成立させようとしている。
国の選択肢には「発生源を絶つ」ことは含まれていないのだ。放射能という環境汚染物質の発生を必然とする原子力発電のこれ以上の増設や延命策をこれ以上認めるわけにはいかない。

 
 
 
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