9月4日、東電本社前で抗議する市民(浜岡原発止めよう関東ネットワークも参加)


2002年9月6日(金)
東京電力・原発点検記録の大「不正」事件
緊急学習・討論会
(主催:浜岡原発止めよう関東ネットワーク)

解説 山崎 久隆さん
(たんぽぽ舎、劣化ウラン研究会、@nifty市民運動ボランティアネット)

《速報版》(文責:今井)


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−目次−

〈隠蔽の流れと原発を取り巻く状況〉
〈プルサーマル計画との絡み〉
〈今回の事故隠しで問題になる箇所は大きく分けて3つ〉
〈地震でシュラウドが破断する〉
〈東電のすごい解析〉
〈保安院、安全委員会の問題〉
〈柏崎3号で実際に発生した「10年で1000ミリ」の亀裂〉




 今回の事件では電力、メーカー、国、それぞれそれ相応の責任があるが、今現在のことで言えば、国や電力は「原発は傷があっても安全に運転できている」という説明をしているが、とんでもないことだ。炉心崩壊という究極と言っていいような事故がシュラウドの亀裂によっても起こりうるのだから。

 現在動いている17基の原発もただちに全部停めろと9月4日の東電との交渉でも主張したが、東京電力の原子力発電所17基(福島第一6基、第二4基、柏崎刈羽7基)のうち、定検で最初から停まってたのが2基(福島第一−3号、柏崎刈羽3号)、後から停めたのが1基(柏崎1号)で止まっているのは3基のみ。「順次停めていく」(福島第一ー4号、福島第二−2号(9月2日に異常により手動停止)、3号、4号、柏崎刈羽1号)と言っても、全部足しても「停めるのは7基まで」という現状は変わっていない。これからそれについて責任を追及していかなければならない。

(2002年9月6日時点の状況)
運転状況 未修理の箇所 停止予定
福島第一 1号 運転中 なし
2号 運転中 なし
3号 7/18から
定検中
プルサーマル予定だったが、定検中、制御棒駆動系配管にひび発見
4号 運転中 シュラウド 9月中旬
5号 運転中 なし
6号 運転中 ジェットポンプ なし
 
福島第二 1号 運転中 なし
2号 停止 シュラウド
ジェットポンプ
10月下旬に停止予定だったが、9月2日に異常により手動停止。
3号 運転中 シュラウド
ジェットポンプ
9月中旬
4号 運転中 シュラウド
ジェットポンプ
10月中旬
 
柏崎刈羽 1号 停止 シュラウド (9月24日停止予定を前倒しして9月3日に停止)
2号 運転中 ジェットポンプ なし
3号 8/10から
定検中
プルサーマル予定だったが、定検中、シュラウドにひび発見
4号 運転中 なし
5号 運転中 ジェットポンプ なし
6号 運転中 なし
7号 運転中 なし

内部告発内容の一覧表:東京電力ホームページ「資料−1」

 今回の事件は、誰か一人やどこか一社が勝手にやったというレベルの話ではなく、電力会社、メーカー、国全体がいろんな形で共謀しながら、少なくとも87年から今日に至るまで(今現在進行中のもあると思うから)現在進行形で事故隠しが続いている、世界に類例を見ないとてつもない国家ぐるみの企業犯罪ということになる。

 何故こういうことが起こってきたのかを説明したいが、9月4日の東電との議論でも肝心な所は全部「答えられない」と逃げられた。「9月の東電の最終報告を待ってそれ以降に説明する」という話になっているので、かなり実証可能なレベルでの推測を交えて語る。


隠蔽の流れと原発を取り巻く状況  [↑目次へ

原発を取り巻く状況 GEII社絡みの虚偽報告
1986年 4月、チェルノブイリ事故
86〜87年 福島第一−2号機の亀裂を虚偽報告
88年 2月、伊方原発で出力調整実験 上の件含め、
13基で29件の虚偽報告
4月、日比谷で2万人集会
5月、浜岡1号機事故
89年 1月、福島第二−3号機事故
91年 2月、美浜2号機事故
95年 12月、もんじゅ事故
99年 9月、東海村臨界事故
2000年 7月、GEII社の技術者から内部告発
02年 8月29日、虚偽記載を公表


 この「トラブル隠し」が公表されたのは2002年8月29日。

 隠蔽の発端の時期は「1986年から」「1987年から」と報道によって違いがあるが、内容は福島第一原発2号機のシュラウドに亀裂があるのをGEの子会社のGEII社が見つけ、それを報告したら東電の課長が「隠せ」と指示したためにこの亀裂は表に出ず、傷があるにもかかわらず運転を継続したということ。
 それが86〜87年の話で、当時はチェルノブイリ事故で大変な騒ぎの時期だった。

 88年2月。伊方原発で出力調整実験が行われた。すでに1月に出力調整を秘密裏に行い、それを聞きつけた現地の人たちが高松市の四国電力本社に押し掛けた。2月にもう一度実験が行われるということで3000人の市民が中国電力本社を包囲。それ以降、東京でも4月にかけて断続的に通産省で包囲行動。そして4月には2万人日比谷集会となった。
 この年に浜岡1号でインコアモニタハウジングが壊れる事故が起こる。これにより中電とわたしたち市民との間で公開討論会が初めて開かれた。

 89年1月、福島第二−3号で再循環ポンプが破壊される大事故が発生(世界の原発史上でも類例を見ない、東電発表でも「30kg以上」の金属片が原子炉内に直接流れ込み、燃料体を傷つけるというとんでもない事故)。
 しかも1月1日頃から振動は増大していたが6日間にわたり運転を継続したため、もう少しでポンプが破壊されるという所まで行きかけた。
 ここで事故隠しが起きる。発表したのは「小さなトラブルがあった」程度の発表。ポンプを開けるのに時間がかかり、実際に電力会社が全貌を知るのが1月20日頃だった。開けてみたらバラバラになっていて、慌てて現場検証と調査を始める。その時点でも隠され続け、実際に大きな記事となって全貌が報道されるのは3月のことだった。
 それ以前にも敦賀で放射能漏れ事故を隠したのもあったが、原子炉の安全性に重大な影響を与える事故の本格的な隠蔽が東電によりここで起こった。
 この時、東電で泊まり込み交渉もやり、現在2、3ヶ月に1回行っている東電交渉はこの前後から始まった。当時は東電も反省して、東電の社長等は「軽微な事故も隠さず、マイナス情報ほどオープンにする」と約束した。しかし市民側は福島第二−3号の運転再開絶対反対で裁判を起こした。この時に東電との間で初めての公開討論会を開いた。
 この後、福島第一−2号を皮切りに、福島第一−4号、5号、福島第二−1号、3号と断続的に亀裂隠しが起こる。(もうちょっと後かも知れない。正確な時間軸は解明が必要)
 ただ一発目はここだっていうのは重要な点。

 91年2月には、美浜で細管破断事故。95年にはもんじゅ事故が起こり、二年から三年にいっぺんくらい事故があって、ずーっと原発に対する信頼が失われ続ける一方の時期。そのこともあり原子力に逆風が吹き続けていてずっと隠し続ける。

 そして99年9月にはJCO事故。

 2000年7月。ここで内部告発。当時の通産省に郵便で英文の内部告発が届く(これを保安院は後ほど全文を公開すると言っている)。JCO事故から1年もたってない時期であり、こんなもの表に出せるわけがないということで徹底的に隠す。ただ何もしないわけには行かないので電話で東電に問い合わせる。それについて東電は「電話でこの内容について問い合わせがあったやに聞いている」。しかし東電に来た電話の照会は「シュラウドではなくて蒸気乾燥器の亀裂の1例と、工具を行方不明にした1例の2例だった」と言っている。だから「心当たりはない」と東電は答えて、終わってしまったと報道発表ではなっている。

 内部告発後、保安院はその技術者と接触を図ろうとしたが「内部告発者の身分の保障をしなくてはならず、正確に聞くことが出来なかった」という。しかし、この技術者は内部告発した時点で既にGEII社を辞めている。解雇されたと言われているが、解雇理由は不明(保安院によれば「内部告発は関係ない」)。解雇されてる人間に対して身分の保障もへったくれもない。この時点で保安院がどういう接触を持ちどういう議論をしていたのか、非常に疑問だ。

 この内部告発との因果関係は分からないが、保安院の発表によればGE社内においても独自に実態調査が行われていて、最終的には2002年3月(いきなり2002年に飛んでしまうのだが)、GEII社の社長と東電の社長が年2回定期的に行う会合で、GEII社長から「『実は重大な問題がある』と耳打ちされた」という。それで「GE社が何らかの原発の自主点検に関して重大な疑惑があるという話になっているらしい」ということで、5月30日に東電内部調査委員会を立ち上げた。8月29日まで連続的に調査をしているが、6月初旬に「29件の亀裂に関して『どこにどういう形で発見をし、それについてはどういう状況であるのか』をGE社から説明を受けた」という。
 つまり、どんなに遅くても今年の6月には東電はこの全貌をつかんだということになる(もっと早い時期につかんでいただろうと思うが)。報道発表で見ても6月初旬。
 この時に分かったのであれば、少なくとも亀裂が入ってるものについては慌てて停めなくちゃ行けないと考えるのが普通の常識。「あんた、欠陥自動車運転してますよ」と言われて6月から2ヶ月も運転し続ける人はまずいない。「この飛行機、亀裂が入ってるよ」と言われて飛ばし続ける航空会社もまあ、ない。
 しかしながら6月初旬にこのことがはっきり分かったにも関わらず現在も延々と動かしているので犯罪的だ。


プルサーマル計画との絡み〉  [↑目次へ

 大ざっぱにこの隠蔽事件は二つの時期に分かれる。

 第一期は、実際に隠蔽工作をやったと言われている87年から95年頃まで。事故で言うならチェルノブイリ事故からもんじゅの事故まで。
 第二期は2000年7月に内部告発があったとされてから2002年8月29日に公表するまでの間。隠蔽工作があったことを知ったにも関わらずそのことさえも隠し続けて、国、電力、メーカーの3者が打ち合わせをしながらその落とし所をどうするか探っていたという時期。

 第二期について。99年の9月以降2000年。このあとは何が焦点になるかといえば、プルサーマルだ。2000年度から福島第一−3号でプルサーマルをやる予定だった。

 99年度には高浜が先行してやるはずだったが、BNFL社の不祥事で吹き飛んだ。それで高浜に続く予定だった福島第一−3号が「プルサーマル第一号」ということになった。それを2000年度にやろうという事になっていたが、福島県内の反対も強くBNFL社の不祥事の全貌も明らかにならないうちにやるのは事実上不可能ということでずるずると延期されていったが、99年9月にJCO事故が発生し、ここで完全にプルサーマル導入が止まる。
 福島県はこれより前に一旦はプルサーマルに事前同意していたが、ここで吹き飛んだ。ここでは事前同意を撤回はしないのだが「国の原子力政策に重大な疑問がある」という世論が福島県内で高まってきた。それと同時に福島県知事も非常にゆっくりとではあるが考え方を変えていく。

 知事は2001年2月に突然県議会で「プルサーマルを拒否する」と発表。これは内部告発からわずか5ヶ月後の時期。この時点で国や電力はプルサーマルを福島第一−3号で何とか先行実施させるためにいろんな圧力をかけ続ける。しかし知事はその前から福島県内に「エネルギー政策対策委員会」を作って、「プルサーマルは本当に必要か」という議論を県庁内でしていた。これに対しては、どうせ県の役人達がそんな議論やったって国と同じ結論出すだけの単なるお飾り機関にすぎないかと思っていたらそれが完全に思い違いで、ここで突如「プルサーマルを拒否する」と言ったことでこっちの方が逆にビックリしたが。

 2001年5月27日には、プルサーマルの是非を問う刈羽村住民投票が行われた。柏崎刈羽3号では福島第一−3号に続いてプルサーマルを導入する予定だったが、福島の方がなかなか進まないので柏崎で先行実施することになった。その矢先に住民投票でこれを拒否。ますます内部告発を表に出せない状態が続く。
 国はこの事態を受けて全力を挙げて柏崎刈羽、福島でプルサーマル先行実施の攻勢をかける。福島県に対しては、経産省では埒があかないというので2002年8月初旬には原子力委員会が自ら乗りだし、知事に自分たちの言うことを聞けと圧力をかけ続けた
 ひび割れの隠蔽は6月初旬にはすでに全貌が明らかになっている。プルサーマルを柏崎刈羽3号で実施する彼らにしてみればこれが「最後のチャンス」ということになる。ここで柏崎刈羽3号にプルトニウム燃料を突っ込みさえすれば、1年は止めようがないという状況に追い込める。住民投票の結果を覆すべく、刈羽村の品田村長や新潟県平山知事に対して攻勢を掛けた。
 ところが、皮肉なことにこの柏崎3号で亀裂が見つかった。開けてみたらシュラウドは亀裂だらけ。福島第二−3号で隠したのと同じところにバーッと断続的に亀裂が入っている。
 こういう状況になって隠すかというと、もう隠しきれなくなった。この亀裂を明らかにするのが8月10日。そして8月29日に記者会見で事故隠しを発表し、プルサーマルの話は事実上この日を限りに吹き飛んだ。

 プルサーマルに事前同意をしていた柏崎市議会が事前同意を撤回する決議を今日あげ、完全に吹き飛んだ。97年から99年の間にした柏崎市の事前同意はほとんどこれで消える(同意自体は議会ではなく自治体の長がやったのだが、市長は議会決議に「その通りである」と言っている)。
 福島県大熊町議会も9月2日にプルサーマル事前了解の白紙撤回を決議している。福島県知事は2001年2月に既に撤回している。あとは新潟県としての事前同意がどうなるかだが、刈羽村はまだ白紙撤回していないが、住民投票結果と柏崎市議会の撤回決議で新潟県も時間の問題だろう。

 ということで、BWR系のプルサーマル計画はこれで終焉の時を迎えた。もちろん巻き返しもあるので安心するわけにはいかないが。


今回の事故隠しで問題になる箇所は大きく分けて3つ〉  [↑目次へ

 今回の事故隠しで問題となる所は大きく分けて3つある。
 一つ目は原子炉圧力容器の中にあるシュラウド(炉心隔壁)。これにひび割れが随所にあった。
 その隣にあるジェットポンプ。これに損傷があったのを隠していた。あるいはこっそり交換した。
 上の方にある蒸気乾燥器。亀裂があるのを隠していた。
 他にも細かいのがあるが、今は触れない。もっとも問題なのはシュラウド。

〈ジェットポンプ〉
 ボルトで固定しているのだが、簡単に固定すると振動でボルトが折れるので、部品をかませて振動が発生しても簡単に外れたり折れたりしないようにしている。そういった部品とボルトに亀裂があった。この亀裂が進展して取れるとどうなるか。ジェットポンプが固定されなくなって炉心内で外れる。すると原子燃料の中に水を入れているポンプが外れるので水の流量が下がる。ただ水が入らないわけではなくて炉心流量が減る。それで原子炉出力が下がる。その前に「炉心流量が下がったぞ」という警報が出る。東電は「それで分かって停めるからいいんだ」みたいなことを言っているが、もう一つ問題なのが「ルーズパーツ」問題。これは部品が脱落して転がっていってしまうことで、原子力発電所にとってはきわめて危険な問題。
 なぜなら原子力発電所は原子炉の中の核燃料が核分裂を起こして大量の蒸気を出している。その核分裂反応をやってる所に制御棒を入れて調整をしているわけだが、そこにルーズパーツ(=金属片)が入っていくのだから燃料を破損させる。それから制御棒駆動系に引っかかって制御棒が入らなくなる。これは実際に起きている。
 そういう事態になりかねないので、ルーズパーツというのは原子炉にとってきわめて危険。ジェットポンプの部品が外れてルーズパーツ化する危険があるからこういった所の部品は破損しないようにしなければいけない。ジェットポンプの健全性、性能低下よりもルーズパーツ問題の方が大変なことだ。
 したがって「レンチを落としていた」ということが最初の内部告発にあったというのも、レンチを原子炉内に置き忘れたまま運転したら一発で燃料を何本も吹き飛ばすというとんでもないことになり得るからで、そういうことにならないように原発での工具管理というのは大変だ。

〈蒸気乾燥器〉
 もうひとつ蒸気乾燥器というのもある。これは直径5メートルくらいで、原子炉の上にある。
 原子炉の中で核分裂反応を起こすと大量に蒸気が発生して泡になって上に行く。水分が多い蒸気がタービンに行くとタービンの羽根を痛める(最悪タービンの羽根を吹き飛ばす)ので、この蒸気乾燥器でなるべく湿分の少ない蒸気を送るようにしているという、タービンの羽根を痛めないようにするための装置。
 この部品に亀裂があった。これも具体的にどこに亀裂があったのかは分からない。問題となるのはルーズパーツ問題になるのだろうが、ここで起こるルーズパーツ問題は2通りある。
 一つは金属の部品がタービンに飛んでいく。そんなことになればもう想像するまでもない。
 もう一つは、そこまで行かないにしても途中の主蒸気隔離弁(何かの事故の時に弁を下げて蒸気をすぐに遮断する装置)に異物が混入すれば当然弁が閉まりきらない。そうなれば蒸気漏れを起こし非常に危険だ。
 それからパイプ(金属で直径60cmくらい)の中を金属が飛んでいけば内壁をズタズタに傷つける。傷つければそこから腐食により亀裂が発生し破断する危険がある。したがって蒸気管のルーズパーツは非常に怖い。
 下の方にあるルーズパーツならば下に落ちて原子燃料の中に混入する危険もある。シュラウドヘッドという蓋が閉まっているので上から来るものがいきなりストンと落ちることはないが、小さな物ならば脇に落っこちてジェットポンプから入っていく可能性がある。

〈シュラウド〉
 それでシュラウドの話。
 シュラウドはBWRにしかなくてPWRにはない物だが、原発の中でシュラウドというのはどういう役割を持っているのか。国とか電力とか、昨日のNHKの解説員の説明も「ようは冷却材の流れを調整する装置である」ということで、一言で言えと言われればそういうことになるのかもしれないが、じつはそれだけではなくて「その上に載っている色々な機器を支える」という役割もある。

 もう一つ重要なのは、下の方に「下部格子板」、それから上の方に「上部格子板」というのがある。これは鉄板の板を井桁に組んだものと思ってもらえばよくて、この井桁の一つ一つのブロックに燃料体が入る。燃料体を入れて固定するためにこの上部格子板、下部格子板というものがある。
 上部格子板が4メートルある燃料体の上の部分を支えている。ここにスポンと入ることによって、しかもキッチリ入れることによって燃料体が振動しないようになる。しかし燃料体は熱膨張して歪むので、あんまりキッチリ入れすぎて動かないと困る。だから非常に微妙な圧力が必要なので板バネをここに入れている。ガチンと入るけどあまり強くは押さないという非常に微妙な性能を要求されるのがこの上部格子盤。これが緩すぎると地震の時に燃料体が揺れて出力上昇を起こす危険性があるというくらい微妙なものだ。
 その上部格子板を支えているのがシュラウドだ。
 したがって事実上、このシュラウドというのは隔壁であるのと同時に格子板を仲介して燃料を支えてもいる。真上から見ると円形の上部格子板は燃料体を支え、その燃料体は下で下部格子板によってまた支えられている。
 上下で燃料を支えるのが、シュラウドに固定されている(と言っても溶接しているわけではなくて落として入れ込んでいるだけだが)上部、下部格子板だ。つまり「シュラウドで支えられている上部、下部格子板によって初めて燃料は正常な位置に固定される関係にある」ということ。

 ここまで言えば分かると思うが、シュラウドが壊れれば上部格子板がずれる。下部格子板はほとんどずれる可能性はないが、上がずれれば燃料体は将棋倒しになる。まあ将棋倒しになるほどシュラウドの外側の隙間はなくてバタンと倒れてしまうということはあり得ないが、シュラウドが真ん中で破断して上の部分がほんの少しでもずれ動けば上の格子板もずれ動いて、間の燃料も傾く。
 傾くとどうなるか。実はこの燃料体の間には制御棒が入っている。原発を起動させたり停止させたりするために重要なこの制御棒は4体の燃料に囲まれる形で十字形に入っている。この十字形に入っている制御棒と燃料体の隙間は、一方方向あたり3〜4ミリしかない。燃料と燃料の間は20ミリ=2センチメートルしか幅がない。したがって上部格子板が何10ミリかずれて傾いた状態になった時に、下から制御棒を入れたらどうなるかと言うと、燃料体にぶつかる。制御棒は真っすぐの4メートル以上の長さのあるステンレスの板。ステンレスの板をボックス形に加工して中に中性子吸収剤を詰めたものを、上から見て十文字に組んでいるものが入ってると思えばいい。それが斜めになった燃料の中を上がろうとしても、大きくずれていれば突っかかって入らない。
 実際に制御棒が入らない事件として、福島第二で制御棒一本が動かなくなるということがあった。これは制御棒自身が腐食で5ミリほど脹らんだためだった。この時は一本だけだったが。5ミリ程度の脹らみで動かなくなるということは、これが5ミリ程度ずれたらもう全部制御棒入らない。「全制御棒挿入失敗」なんていう事態はもちろん想定されていない。したがってそんなことになれば原子炉の停止が出来なくなる。


地震でシュラウドが破断する〉  [↑目次へ

 しかもそういうことが起こる可能性があるというのは地震の時。シュラウドに亀裂が入っていて、これが進展してバンッと切れてしまうというのはどういう時なのか。放っておいても切れてしまうことがないとは言えないが、ある程度まで亀裂が進展していたところに例えば震度6とかいう地震が来る。
 そうすると、この原子炉圧力容器そのものが揺さぶられる。ここには燃料が一杯入っている。上部格子板で止まっている燃料と圧力容器とは振動モードが違う。したがって上部格子板に支えられている燃料と、シュラウドの下を支えている圧力容器との動きはバランスが違うのでどうしても歪みはこのシュラウドの中央部に集中的に掛かる。そうなるとこのシュラウドの真ん中の亀裂がスパーンと切れる。
 スパーンと切れるもう一つの理由があって、それは「中性子脆化」。これは中性子により金属が固くなって脆くなる現象で、そういうことも併せて起きれば、ここが秒速1000メートルとかいう速度で一気に亀裂が進展して、亀裂と亀裂が繋がってスパーンと切れてしまう。
 その瞬間、切れたシュラウドの上はずれ動く。それが起きている時は震度6だから、原子炉は緊急停止を掛けなければならないが、その時にシュラウドが切れて燃料が突っかかって緊急停止を掛けても掛からない状態。地震だから配管が途中で破断するということが同時に起きれば、原子炉を停止出来ないままに冷却材喪失事故という最悪の事態になる。
 ようするに地震というのは一発大きな力を加えることによって、こういう所でいろんな事故を多発的に起こす可能性がある。だから浜岡原発は危険だという話をずっとしてきたのだが。
 で、そういう亀裂がここに残っているというのが、今回の福島第二−3号とか福島第二−2号とかで実際にあったこと。

 それがシュラウドが破断をしたらどんなに危険なのかという一番端的な例の説明。
 他にも亀裂が起きて上から炉心の上部の機構物が崩れるとかいうことがあり得るんじゃないかという話もあるが、どちらかというと制御棒が全く動かせなくなるという方が危険だと思う。

 で、そういう状態で核加熱が止まらない状況で、しかも例えば主蒸気管が地震で破断していたりすれば、燃料体の中の水は30秒もかからないで全部蒸発して無くなる。核加熱が止まっていない状態で中の水が抜けてしまえばすぐにメルトダウンを起こし、チェルノブイリを越えるようなレベルの事故になってしまう。東電はECCSが働くとか言うかもしれないが、制御棒が入らないなんていうのはそれ以前の問題なのでそこから先は論ずるまでもない。

 こういうこと(シュラウドの真ん中でバーンと破断するようなこと)が起こりうるのか。国や電力はこの事件を発表する時に同時に「シュラウドに発生している傷があるけれども安全上影響を与えません」と言っている。今も言っているが、これは本当なのか。
 「亀裂が入っていても破断しない」というのを、じゃあどうやって調べたのか。そもそも秘密にされていたのだから、亀裂がどこまで進展してるかというのは分かりはしない。証拠があって「はい、これだけ何メーターありました。この何メーターを前提に応力計算してどんな力掛けてもシュラウドは割れません」という話なら分かるのだが、そもそもこのシュラウドの傷の長さ全体が分かっていないのだから、そんな説明が成り立つはずがない。
 しかしウルトラCを考え出した。


東電のすごい解析〉  [↑目次へ

 それは何かというと、GEII社が持っていたデータからこの亀裂の長さが10年後にどのくらい進展するかという計算をして(なぜ10年なのかという問題があるが)、それが健全性の証拠として挙げられている数字だ。
 細かい数字は今更説明するまでもないので言わないが、たった2点だけその根拠を覆すことを彼ら自身の計算でやっているので、あまりにも面白すぎるので(不謹慎だが)ちょっと説明する。あんまりメチャメチャなんでよくこんな説明を未だに維持しているなあというものだ。

 当該問題になるのは福島第二−2号、3号の2つの原子炉。

(下図:東京電力ホームページ「現在使用中の機器に関する安全評価について」より
 「H4」というのはシュラウドの真ん中の部分で、このH4にある亀裂の部分の話。ここが一番危険だ。なぜかというと、上の端や下の端にあるところは結構厚みがあるので破断しづらい。真ん中のところは50ミリ=5センチメートルの厚さ。下の下部格子板に近い部分は厚みが10センチメートルで、しかも段差の下の溶接部分なのでここが亀裂進展していってこの部分を破断させてしまうというのはかなりの力を掛けないと難しい。しかしH4の部分は真ん中で何も支えがない所だから、地震がドーンと来てスパーンと切れるというのはここが一番弱い。弱いから問題が大きいので隠したのだが。

 しかも下の部分というのは何で亀裂が入るのかを今までに説明していて「製造する際に強度を増すためにに加工したのだがその時に表面が固くなってしまって応力腐食割れを起こしやすい環境になってしまった。だから亀裂が発生した」というのが福島第二−3号で2001年7月にした説明だった。
 ところが問題はこの真ん中の部分で、ここは別に表面加工していない、ただの溶接線。ここで発生する亀裂の原因は、実は応力腐食割れじゃないかもしれないという問題がある。あるいは応力腐食割れにしても「中性子の照射脆化」が絡んでいる可能性がある。なぜならここは一番中性子線が当たる所だからだ。上とか下の方よりも中性子がいっぱい当たる。そうすると金属は中性子が当たることによって脆くなる。制御棒なども中性子が当たりすぎると(元々燃料の真ん中なので当たる場所だが)脆くなる。それで脆くなって亀裂が発生したのが先の福島第二−4号の制御棒の事例だった。
 ここの真ん中の場所というのはシュラウドにとって中性子が一番いっぱい当たる所になるわけで、中性子脆化が絡んでいるとすると、東電はこのシュラウドの下の部分では「亀裂の進展は約28ミリで止まる」という説を持ち出してくるわけだが、真ん中の部分ではこの説明は有効に働くなるという問題が一点ある。

 もう一つは、ひびが「外側から入るか、内側から入るか」ということで、下の部分では外側を表面加工して固くなっちゃったから応力的に外側が一番引っ張り応力が大きい。そういう意味で内側が引っ張り応力はないから亀裂が発生するのは外側から内側に向かっての一方方向しか考えなくていいが、真ん中の部分は原因がはっきり分からないので、内側からも外側からも入ると考えなければいけない。「中性子照射脆化による応力腐食割れ」ということになると材料の外から中まで全部脆化するので、亀裂が貫通するという前提に立たないと安全側とは言えない。
 そういう問題を一緒に持ってくるので、このH4というのは非常に怖い所だ。


 それで、このH4に関してすごい解析が出てくる。
 「福島第二−2号も3号も両方とも亀裂がある」と。では、「中性子が照射されていることも考えながら、これが周方向の長さで何ミリまで進んじゃうとこの健全性が保てなくなる危険性があるか?」

 「福島第二−2号」。
 「限界亀裂長さ=4080ミリ」。それで現在発生していると想定される亀裂が10年後に何ミリまで進展する可能性があるかというと「最大2068.6ミリ」。つまり半分くらいにはなるんだけど2068ミリは4080ミリに対して「十分小さい。したがって福島第二−2号、OK」と。

 次、「福島第二−3号」。
 これは福島第二原発という同じ原発群にあって建ってる場所も隣合わせ。想定される地震も双葉断層とか福島第二原発の沖合にある大型の活断層とか、そういったものの地震により発生するであろう「限界地震」の震動によって破壊される危険性を考慮して建設された。そういう条件は全部同じ。ただ立地した時の建設状況が違って、建てたのが2号は日立で3号は東芝。だからそれぞれのノウハウの違いによって、建物の中の構造は若干違う事実はある。
 しかしながら3号のこのH4の「限界亀裂長さ=2002ミリ」。それに対して10年後に進展すると思われる亀裂長さは「最大464.8ミリ」。「十分小さいですね。はい、OK」と。

限界亀裂長さ 10年後の亀裂 安全か?
福島第二−2号 4080ミリ 最大2068.6ミリ OK
福島第二−3号 2002ミリ 最大464.8ミリ OK

 ちょっと待てよ!という話だ。

 福島第二−2号と3号は理論的にはほとんど変わらない原発だ。材料も同じ「SUS316L」だ。基本設計が同じで同じ材料を使って、しかもシュラウドのサイズも同じ。違うのは何かというと運転年数だけで、3号はあまり使ってない。大事故を起こして1年半も止まっていたから運転時間が短い。しかも運転開始年限は3号が85年、2号がもうちょっと前。ということになると、運転時間だけで累積すれば照射されてるのはむしろ2号の方。そっちの方が限界亀裂長さが長い。「4080ミリまでOK」。それよりも条件が緩いはずの3号が「2002ミリまでしかいけないよ」という計算をここでやっている。
 だから「この計算式を出せ」と東電に対して強く迫るのだが。
 これが逆だったらどうなるか。もう簡単な話ここで2号は駄目になっている。「2068ミリ」までいくとしたらもう途中で「2002ミリ」突破しちゃって「福島第二−2号、失格」。

 だから安全側に立つのならば、計算では各号の想定地震や年限の違いで計算が違うというのはあり得るが、こうやって並べて計算した時にはより危険度の高い方を採用して、同じ福島第二原発ならば「2002ミリ」を限界としてそれを超える可能性があるものは全部駄目としなければ、少なくても東電側の手法でやっても、こんなものは安全と言えない。


保安院、安全委員会の問題〉  [↑目次へ

 こんなものをわざわざ出してきて、これでは「安全の証明」じゃなくて「危険の証明」じゃないかと思うが、東電は真面目にこんな計算をやって、しかもそれをもらった保安院は「これでOKです」と言ってお墨付きを与え、しかも原発を停めずに運転を続行して構いませんと8月29日に言って、東電もそのつもりだった。
 しかし新潟県や福島県がとんでもないということで、轟々たる非難になった。だからもう停めざるを得ないということで停めることになるのだが、福島第二−2号も第二−3号もすぐに停めるわけじゃない。9月初旬とか10月中旬とか、まだ一ヶ月も先まで動かし続けようという話だ。(福島第二−2号は9月2日に放射能漏れにより手動停止した)

 で、更に凄まじい話。今日の原子力安全委員会・松浦委員長。「同時に5基も停めるとは常軌を逸している」。これは停める方のことを言っている。一瞬逆を言ったのかと思ったのだが、運転を停める方を「常軌を逸している」と言ったのだった。
 もちろん原子力安全委員会も事件を発表した翌日の30日に緊急の安全委員会を招集して検討をする。検討したのは何かというと、「何でこんな事件が起きたんだ」とか「安全健全性はどうなんだ」とかいう話をしたのかと思いきや、「この亀裂があっても安全なのか」ということだけしか議論をしなかった。「安全だ」という結論が出たら、「はい、それでOK」。安全委員会的に言うならば、原子炉壊れなければ別にいいじゃないかと。もちろんその他に「特別にこういう事件が起きた理由は何か」とか、「安全文化を覆した」とかまあ色々なこと言っているが、本当の仕事である所の原子炉の安全性という点に関してのみは、この計算式だけでマルを付けてしまった。
 で、マルを付けてしまったものだから、彼らの姿勢は「『安全だ』と言った福島第二−2号、3号を運転停止するとは何事だ、ちゃんと動かせ」という姿勢なんですよ。「県の停めろということに異論を差し挟むつもりはないのだが」とか言いながら、安全委員会は運転停止にいたくオカンムリだ。保安院もそれは同じ姿勢。「東電が自分の所に来てわざわざこういう亀裂があっても健全だと説明していたにも関わらず停めるとは何事か」というのが国の姿勢。

 これは例えば浜岡原発で考えてみれば、中電が「1号でああいう事故を起こしました。2号を安全のために止めて点検します」と止めた途端に、保安院は「停めるとは何事か。別に事故も起きてないのに何故停めるんだ」という話になった。それと同じ図式で、彼らにしてみれば「危険の証明がないものは安全」だ。安全の証明なんて、私に言わせればそんなのはあったことにならない。どっちかというと危険の証明だと思うぐらいだ。
 こういう計算式が出てきたから安全でも何でもないのに、とにかく国としていったん29日の記者会見の時に、この事件があったことを発表するその口で「でも今この問題を起こした、運転中のシュラウドの5基の原発は少なくとも安全なんだ」というお墨付きを与えてしまった以上は停めるなんて許されない、というのが国の姿勢だ。

 これで事故が起きない方が不思議だ。そういうことをやってるのが国の今の姿勢だから、もう度し難いというのを通り越して、まあ東京電力に対しても頭に来ていたが、ここまで来るとどっちかっていうと国の方に怒りがより強まる。「すぐに停めなさい。緊急点検だ」とやらなくちゃいけない立場の人たちが、保安院は現場立ち入りで発電所の中に行って「君たちが嘘ついたら違法を問われますよ」とか言いながらいわば現場検証で入っていったくせに、隣で動いてる原発については「ああ、あれはいいんだ、動かし続けておけ」と、もう無茶苦茶な姿勢。 「欠陥車があります」と言ってリコールを発表した会社に立ち入り調査をしながら、その車が走っててもいいっていう話ですから、もう普通の人には理解できないという話だ。
 で、こういう話になっていくと、どこに落とし所があるかというと、じつは「維持基準」という話になってくるのだが、これはもう時間がすぎてるのでこの話は次回回しにする。


柏崎3号で実際に発生した「10年で1000ミリ」の亀裂〉  [↑目次へ

 もう一つ配ってあるこの図は何かというと、今回問題になったものではなくて、これはプルサーマル予定原発だった柏崎3号のシュラウドで実際に発生した亀裂の展開図。
 柏崎3号というのは1993年運転開始だから9年、約10年しか経っていない。10年しか経ってない原子炉の、一番下の部分で、ここは全周で16m50cmある。この一番下の下部リング付近の所で亀裂がどれだけあったかというと、全周で16m50cmあるところに、どういう計算するかにもよるが、約1メートル。1メートルの亀裂がある。1メートルの亀裂だから1000ミリ。原発で10年と言えば新品同様だが、それでもう1000ミリの亀裂が発生している。
 先ほど言った「年間で11ミリ両端に進展する」という話がこれでもう嘘だと分かる。新品だから最初は全然亀裂が無いわけだから「0ミリ」から始まって、10年の間に実際に亀裂がこういうふうに「1000ミリ」いく。これは実測値だから本当にあった話で、嘘でも推定でも何でもない。

 これはさっき言ったH4の数字がいかにデタラメかのもう一つの例証だ。実際に「10年で1000ミリ」いくのに、これらの計算では例えば福島第二−3号では「10年で464ミリ」しか行かないことになっている。すでにもう亀裂がある原子炉のシュラウドで、今後進展したとしても「最大46センチ」しかいきませんよって言っている。他の所はもっと少ない所もある。「200ミリ」しかいかないとか。こんなのは全部嘘だ。「最低でも1000ミリいく」というのが実測データ。だからどんなに悪くても「1000ミリ以上いく」ものだと考えてこういうものを計算しないと嘘だということ。だって柏崎3号で実測データがあるのだから。

 これは全然今回の事故と関連して出てきた資料ではなくて、じつは東京電力は9月4日の最初の予定は柏崎3号のプルサーマル炉のシュラウドの傷について市民にこれを説明しようとしていた。
 この事件が発覚する前は「柏崎3号で発見されたシュラウドの傷はこういうもんですよ」ということを発表しようとして準備していた所がこの事件が発覚してしまったもんだから、大慌てでそっちに切り替えて、これは後になって説明した(その日の夕方で、もうほとんどの人帰っちゃっていなかったかもしれないが)。
 これは東電自らが発表した「0から1000ミリまでいく」という証拠だ。

 だから「0から1000ミリまで10年間でいく」ということだ。なぜならばこういった亀裂の10年後の推定値っていうのは前提がちゃんとあって「新たに亀裂が発生しないとして、現在存在する亀裂が両側に年間11ミリずつ、10年間で伸びると仮定したらこれだけになります」という数字だから、1000ミリ以下の数字が平気で出てくるわけだが、そんなもの新しく亀裂が発生するに決まっている。柏崎3号でも証拠が出ているのだから。

 そういう意味でこの計算は全部駄目。失格。まあ学校の授業で言うならば0点というふうになるはず。これはもう証拠がこういうふうにあるので、いくらでも保安院の安全の説明がデタラメだということが分かると思う。こんな原発をいまだに動かしている国、しかも動かすことについて「停めるな」と言っている安全委員会っていうのはその存在意義が問われている。こんなものは解散どころではなくて全員責任を問われると、そういう世界になっているという状況だ。

 だから保安院も駄目、安全委員会は安全神話委員会になった。前からそうだが、もう明確に安全神話委員会になっている。保安院は電力と結託して事故隠しに汲々としていた連中だから、こんな連中が事故をいくら評価したって「安全だ」という結論しか出てこないし、調査委員会を作ったって真相なんて出てきやしない。だから「第3者機関としてきちっとした調査委員会を作らなければ駄目だ」とわたしたちはもっと前の福島第二−3号の時から言ってるわけだけれど、また改めてそれが立証されたということだ。


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