トップページへ戻る


2006年3月24日の金沢地裁判決を評価します
北陸電力は志賀原発の運転を停止せよ、
日本の全原発を止めて安全性を再評価せよ

たんぽぽ舎声明 2006年3月27日


 3月24日 歴史に残る判決

 金沢地裁の井戸謙一裁判長は、全国各地に住む132名の原告が訴えた「北陸電力志賀原発2号機の運転の差し止め」に対し、耐震設計が不十分であることを主要な理由として原告勝訴、運転の差し止めを認める画期的な判決を下しました。
 1号機の差止訴訟では名古屋高裁金沢支部が1998年9月9日に、請求棄却、原告敗訴ながら、原発は「負の遺産」と判決で指摘していました。今度はついに運転差止を勝ち取ることが出来ました。これも、長年にわたり志賀原発と向き合ってきた原告団をはじめとした人々の努力と、それに応えてきた弁護団の皆さんの英知の勝利です。
 志賀原発2号機は、奇しくも3月25日に営業運転入りした日本最新鋭の135.8万キロワットABWR型(改良型沸騰水型軽水炉)です。

 原告側の主張の要約

1. 原発の事故による放射性物質の放出や日常的な運転に伴う放射性物質の放出は、周辺住民のみならず日本各地の原告らの生命を脅かす。これは志賀原発2号機の運転により 環境権が侵害されることになる。

2. ひとたび原発が事故を起こせば、大量放出された放射性物質により許容限度を超える被曝を強いられる危険性が高い。

3. ABWRはコストダウンによる「改良」はあるかもしれないが、工学的安全性に関してはむしろ安全性の低下になっており、従来型の志賀原発1号機と比較しても安全とは言えない。プルサーマル計画の存在も合わせて考えれば、その危険性は無視できない。

4. さらに北陸電力管内の電力需要はこれまでの発電設備で十分すぎるほどまかなわれており、新たな2号機の増設は過剰設備である。

5. 原発のバックエンド対策はほとんど進んでおらず、依然として志賀原発1号機の名古屋高裁金沢支部判決に言う「負の遺産」の状況は拡大しこそすれ、減少していない。


 本件訴訟の重点

 そして、項目3にかかる具体的危険性に関連して、最も大きなポイントとなったのは、耐震設計の妥当性と、安全設計についての裁判での立証・反証内容でした。
 まず、志賀原発に影響を与えうる震源断層に対応する地表断層を耐震設計時に網羅しているかを問うています。その中で問題としているのは邑知潟(おうちがた)断層の存在を無視していることでした。さらに、「大崎の方法」「金井式」として知られる基準地震動の想定手法が妥当性を欠くとして、具体的に2005年8月16日の女川原発の例を上げています。
 また、2000年の鳥取県西部地震など、地表断層面が現れない地震範囲が、被告が主張するようなマグニチュード6.5以下などではなく、実際にはマグニチュード7.3のものもあることから、原子炉直下でマグニチュード6.5を超える地震の震源断層が存在しないという合理的根拠は認められないと指摘しています。
 北陸電力側の耐震性の証明については「被告の反証は成功しなかった」と明確に述べています。

 判決で注目すべき点

 この判決についてのマスコミなどの論調は、地震に遭遇した際の具体的な危険性を認めたことが大きく扱われていますが、もう一つ忘れてはならないのは、原子力安全委員会の安全審査を経ているからといって、原発の安全設計が妥当であると即断してはならないという点と、700キロメートル離れている熊本県の原告に対しても志賀原発で「最悪の事故が生じたと想定した場合は、許容限度である1ミリシーベルトをはるかに超える被ばくの恐れがあるから、全ての原告らにおいて、上記具体的危険性が認められる」と、明確に判断していることです。原発事故はアジアへも悪影響を及ぼすことを認めました。

 全ての電力は判決を真摯に受け止めよ

 志賀原発2号機の差し止め訴訟は、北陸電力にしか効力は有しないかもしれません。
 しかしこの判決で批判されたことは、全ての原発で採用されている「耐震設計の手法」(大崎の方法)であり、直下地震の考え方や安全審査に対する考え方などは同じです。
 特に、本件訴訟でも言及された、実際にS2地震動(限界地震動)を超える地震を、想定よりも遙かに小さい地震で観測した女川原発や、初期の耐震設計時では想定されていない規模だった東海地震の震源域の真上に建つ浜岡原発など、近い将来間違いなく大地震に見舞われ、取り返しのつかない惨事を招く具体的危険性が指摘されている原発もあるのです。

 たんぽぽ舎は、以上の点をふまえ、次のように声明する。



1. 北陸電力は直ちに志賀原発2号機の運転を中止せよ。又、同じ敷地内に建つ1号機の運転も直ちに止めること。

2. 判決が指摘する耐震設計の不備は日本中の全原発に共通する欠陥である。従って、全ての原発は、直ちに運転を止め、立地の是非を含め安全性の再評価をすべきこと。

3. 六ヶ所村の再処理工場敷地内にも、震源断層が存在している。また、十勝沖地震など六ヶ所再処理工場に甚大な影響を与える地震が正当に評価されてない(過小評価)など、志賀原発訴訟で指摘された問題がそのまま当てはまる。アクティブ試験どころか、直ちに運転を停止すべきである。他の核燃料サイクル施設も停止して、立地の是非を含め、耐震安全性を再評価すべきこと。

上記のことを直ちに実行するよう求める。   2006年3月27日

たんぽぽ舎 東京都千代田区三崎町2-6-2ダイナミックビル5F
              TEL 03-3238-9035 FAX 03-3238-0797



トップページへ戻る