山崎 久隆さん(たんぽぽ舎、劣化ウラン研究会、TUPメンバー)
私の意見
(初出:TUP速報(リンク)

〈目次〉

自衛隊派兵は侵略 03年12月7日記

 (●あるイラク人から、日本人への手紙

日本人外交官の死について 03年12月1日記

トップページへ戻る

  
[↑目次へ
この原稿は、TUP速報として配信された「私の意見」という文章です。
発端は、イラクから送られてきた手紙です。その手紙はすでにあちこちに原文も訳文
も転載されています。
最初は手紙への返事として書き始めたはずでしたが、どうしてもその範囲を逸脱して
いきました。けっきょく、私の想いだけが後に残っていきました。
そこで、私は日本人への書簡として送ることにしました。イラクからの手紙も末尾に
つけます。すでに目にされている方には、重複でお送りしたことをお詫びします。


-----------------------転送元のメール-----------------------
Subject: [TUP-ML] TUP速報232号 自衛隊派兵は侵略 03年12月7日

★私の意見★ 自衛隊派兵は侵略 03年12月7日記
---------------------------------------------------------------------
この文章は「TUP速報231号 TUPかわら版#4 03年12月6日」
http://www.egroups.co.jp/message/TUP-Bulletin/241 にて星川淳さんにより掲載さ
れた「イラクからの手紙」への返事として書き始めたはずでした。けれどとちゅうから
日本政府と日本人に宛てた文章になっていきました。
 週明け、イラク派兵の行動計画が閣議決定されようとしています。
 ほんとうは誰も行きたくない。何のための派兵か、誰のための派兵か、誰もまともな
説明が出来ないまま、計画だけが決められようとしている。
 派兵を止める時間は刻々と無くなっていきます。それで、この文書を公表することに
します。何かの意味があると信じて。

                       山崎 久隆 TUPメンバー
---------------------------------------------------------------------
 山崎 久隆です。

 イラクからの手紙(末尾に転載)を読んで、とても悲しくなりました。どうしてこ
の国はイラク人と敵対したいのだろうか。イラク人のほとんど誰も望んでいない派兵
をなぜ強行するのだろうか。

 この国の為政者はほんとうに「平和ぼけ」しています。別の言い方をするならば、
軍隊のなんたるかを全く分かっていません。

 「人道支援のためにNGOなども行っている。様々な取り組みをする中で、自衛隊だけ
行ってはならないという理屈はおかしい。」確か小泉首相はこのような趣旨のことを
言ったことがあります。「自衛隊だけ行ってはならないという理屈」はあります。そ
れは自衛隊が軍隊であるからです。国の最高責任者がこんなレベルの理解だから、こ
の国はいつまでたっても「軍事」を知らないままなのです。自衛隊も何もないのだっ
たらそれでも良いかもしれません。しかし日米安保のもと、巨大な米軍基地があり、
数万の米軍が駐留し、核兵器を含む強大な武力を展開し、東アジアには紛争の種が絶
えず、それに加えて15万の軍隊を持っている国が、子どもでもわかりそうな理屈を
理解できない首相をいただいている。恐ろしいと思いませんか。ブッシュ・ラムズフ
ェルドらの顔を立てる、ブッシュ政権の歓心を買うためだけに、軍隊を他国の領土に
送る。想像を絶する世界です。

 自衛隊は何十年間も日本において軍隊ではなかったかもしれませんが、それは国内
だけで通じるロジックにすぎません。いまごろ「軍隊だ!」と小泉首相が叫ぶまでも
なく、とっくに自衛隊は「日本軍」でした。ついでに言えば、海上保安庁は「沿岸警
備隊」です。

 PKO協力法のときも思ったし、日本軍がどこかと演習をするときにも常に思って
きたのですが、軍隊を日本の領海から出すことに特別な意味があるということをどこ
まで真剣に考えているのでしょうか。
 相手国が「どうぞいらっしゃい」と歓迎でもしているのならばともかく、「来れば
撃つ」と公言しているところに行くのは戦闘をしに行くことと同義です。今のイラク
には法的には国家が存在しない状態になっています。だから、主権国家の承認のない
派兵は、いかなる法律を作ろうとも本来出来ないはずなのです。国際法上の根拠を国
会で答えていましたでしょうか。寡聞にして知りません。国連決議をいくつか引っ張
り出したようですが、どの決議も全て根拠になどなりません。

 これまでPKOで派遣する場合は、国連の一員として参加をしますから、国連と派
遣相手国との地位協定が締結され、それに従っていました。テロ特措法は公海上だと
いうことで、地位協定はありませんでした。

 今回は、空自が拠点とするクウェート政府が日本に地位協定締結をもとめました。
イラクはというと、占領軍であるCPAとの間で口上書(!)を取り交わすのだそう
です。イラク統治評議会というイラク人の組織が存在しますが、日本はこれを「イラ
ク全土を掌握していないから」無視するというのです。たとえ傀儡であったとしても、
イラク人と話をしようとするのが本来の姿ではないでしょうか。そういう場面を見て
も、おそろしく差別的な印象を持ちます。

 イラクの高校教師の手紙を見て、政府は気づいてほしい。今、イラクに行うべき人
道支援は、自衛隊ではできないのだということを。戦場で中立な軍事組織などは存在
し得ない。敵か味方かしかないのです。PKOでさえ、攻撃を受けることがあるとい
うのに、米軍の支援を掲げて出かけていく軍隊は、イラクの敵以外の何者でもない。

 たとえ寸鉄帯びずに派遣したとしても、もはや「日本の軍隊」が来たとなれば、最
優先で攻撃を受ける可能性が出てきました。自衛隊員が武装していたとしても状況は
悪くなるだけです。なぜならば、武装しなければ犠牲は自衛隊員だけですが、武装し
ていれば犠牲は双方に出るのですから。はっきり言いましょう。自衛隊員のために、
身を守る必要最低限の武器を持たせろなどというのは、もっと大きな犠牲を生み出す
結果にしかならないのだと言うことを。そんなことは自衛隊は知っているはずです。

 軍事行動を主観的に「良かれと思ってやりました」で済むはずがありません。「攻
撃はテロだ」と、いくら相手の非をならしたって、死んだ人間は帰ってこない。
 米軍が行っているテロ掃討作戦なるもの、あるいは攻撃へのイラク人への反撃がど
んなものかを、まず自衛隊は、政府は調べるべきでしょう。
 サマラで起きたことはいったい何だったのか。ティクリット掃討戦とはどんな戦闘
だったのか。死んだのは誰か。誰が殺したのか。
 殺された側にとっては能書きなどはどうでもよいことです。殺された人々の家族に
とっては、誰が何で殺したのか。それだけでしかないのです。

 チェチェンの北、南ロシアのスタブロポリ地方で、12月5日に鉄道が爆破され、
42名死亡220名以上負傷という大事件がありました。ここもまた、戦場だったの
です。
 自爆攻撃を仕掛ける人々の多くは、ソ連、ロシアのチェチェン攻撃によって家族を
奪われた人々だと言われています。ロシアはチェチェン独立運動を徹頭徹尾武力制圧
しようとしています。二度にわたるチェチェン戦争では、100万弱のチェチェン人
のうち20万人が殺されたと言われています。
 北カフカス地方はバクーなどカスピ海沿岸の資源積み出し港からパイプラインを引
いてロシア、黒海、トルコにいたる要衝にあたります。ロシアはこの地域を手放すつ
もりはありません。従って、現時点ではチェチェン独立派にとって選択の余地は無い
に等しいといって良いでしょう。殺すか殺されるか。それ以外の選択肢はロシアが認
めようとはしません。
 国際的な圧力が機能していた時代、そう、911事件以前ならば、話し合いで解決
の道もあったはずです。しかし米国がアフガニスタンに武力攻撃を仕掛け、世界に強
調を呼びかけたとき、ロシアはいち早く米国を支持し、自らはチェチェン武力制圧を
本格化させました。和平への道は米国により絶たれてしまいました。
 すぐ隣のグルジア共和国では、親米派のシュワルナゼ大統領がロシア派の議会勢力
により追放されました。事実上のクーデターです。このまま死を待つか国外脱出をす
るか。シュワルナゼ大統領に残された道はありません。
 この回廊部分は今では米ロ資源戦争の戦場と化しています。チェチェン独立派に対
して米国が選択可能な道を示すとしたら、アラブ系武装勢力と手を切り、CIAと手
を組むことをもとめるかもしれません。
 「テロとの戦い」などというものは存在しません。米ロ共に自らにとって有利な勢
力と手を組み、その勢力に敵対するものを「テロリスト」と名付けているだけのこと
です。日本政府は一度として「テロリスト」「テロ」を定義したことはありません。
全ては米国の定義を引きずっているだけです。

 そんななかで自衛隊がイラクに行けば、どこから見ても米軍の援軍に他なりません。

 それ以外の立場を表明する余地など、あろうはずもありません。

 戦闘地域とは武装勢力が存在する場所が戦闘地域になります。自衛隊がいる場所が
自動的に戦闘地域になるのですから、サマーワの人々にとってこれほど迷惑な話はあ
りません。自衛隊が町に出てくれば、それを狙った攻撃が仕掛けられるでしょう。そ
のときはイラクの人々も巻き添えになるかもしれません。

 米軍を始め、たくさんの武装勢力がイラクに居ることが、イラクをまだ戦争状態に
している最大の原因なのですから、自衛隊の派遣がそれをさらに拡大させるだけです。

 僕もイラクの敵になどなりたくはありません。日本人のほとんどもそうでしょう。


03/12/7(Sun) 08:34pm SDI00872@nifty.com Yamasaki Hisataka





本文中に言及した「イラクからの手紙」を転載します。
[↑目次へ
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

  あるイラク人から、日本人への手紙【転送歓迎】

                http://pws.prserv.net/umigame/


 NGO活動をしている友人が、バグダッドから送られてきたメールを転送
してくれました。Yahoo Japan で、日本のNGO団体のメールアドレスを
見つけて発信してきたそうです。

 一読して、激しく胸を揺さぶられました。ぜひ、多くの日本人に読んで
もらいたいと思っていたところ、友人から二信目が届きました。

 バグダッドにメールを送り、本人に確認したところ、公表してもいいという
返事があったそうです。さっそく、ここに転載します。NGOメンバーたちに
よる翻訳を添えます。

 訳文では、原文の Please という一語が省略されていました。
その Please という言葉に、切実な叫びがこもっていると感じられますから
「どうか」という言葉を(原文通り)二か所に挿入しました。
さらに、読みやすく改行をほどこし、一部、訳文を補いました。

 発信者に危害が及ばないように、名前の部分だけ●●●●で消しました。
あとは、すべて原文のままです。文末の Rei とは、空手を習っているという
ので、おそらく、日本語の「礼」のことだろうと思います。

 このイラク人の悲痛な声が、多くの日本人に届いてほしいと願っています。
みなさん、「あるイラク人から、日本人への手紙」を友達に転送してください
ませんか。どうか、よろしくお願いします。(宮内勝典)



 I have found your email address from Yahoo Japan.
My name is Mr. ●●●● and I am a high school teacher
living in Baghdad, Iraq.
I have learned Karate and Japanese language and I always
respected Japan and Japanese people.

 It was terrible news for us that Japanese Army is coming to Iraq to help
US invasion. I have never supported Saddam Hussein but US is nothing but
an armed robber. They are killing Iraqi every day and no ordinary citizen
supports them.
 Now, more and more people are taking part in resistance movement.
They are not terrorists or remnant of old regime, just normal people.
Imagine how people would act if any country invaded Japan.
Exactly the same thing is happening here.
 Iraqi should be the one to reconstruct Iraq, not the invaders.

 Do not come to Iraq as a US allied invasion troop! Iraqi respects Japan
but if the army comes now, Japan will become the enemy of Iraqi and
whole Muslim.
 Every Iraqi will feel deeply disappointed to Japan, a great nation who
has never been hostile to Muslim in the past. Supporting US is absolutely
not worth all these losses including Japanese people’s life. We welcome
Japan after the invaders are gone, but strictly not now.

 Please tell our real feelings to Japanese people. Japanese army should
not invade our country! I love Japan so please, please, do not be our
enemy. We hope Japan will take the right decision as an independent
country.

  Rei,
  Baghdad, Iraq



私は、Yahoo Japan で、あなた方のメールアドレスを見つけました。
私の名前は●●●●といい、イラクのバグダッドで暮らす高校教師です。
私は、空手と日本語を学びました。
私はいつも、日本および日本の人々を尊敬しています。


米国の侵略を支援するためにイラクに日本の軍隊が来るというのは、
私たちにとって恐ろしいニュースでした。


私は、サダム・フセインを支援したことはありません。
しかし、米国は武装強盗です。彼らは、毎日イラク人を殺しています。
そして、普通の市民はだれも彼らを支持していません。
今、ますます多くの人々が抵抗運動に参加しています。
彼らは旧体制の残党でも、テロリストでもなく、普通の人たちです。


もし、仮にどこかの国が日本を侵略したとしたら、人々がどのように
行動するか想像してください。まさしく同じことが、ここで起こっ
ているのです。イラクを再建するのは、イラク人であるべきです。
決して、侵略者ではありません。


米国の連合軍としてイラクに来ないでください。イラク人は日本を
尊敬していますが、今、日本の軍隊がイラクに来れば、日本はイラク
人とイスラム教徒全体の敵になるでしょう。すべてのイラク人が、
日本に対して失望するでしょう。偉大な国である日本は、過去の歴
史においてイスラム教徒と敵対したことがなかったからです。


米国を支援することに、日本人の生命を含め、あらゆる損失を被るだ
けの価値はまったくありません。侵略者が去った後なら、私たちは
日本を歓迎します。しかし断じて「今」ではないのです。


どうか、日本の人々に、私たちの本当の気持ちを伝えてください。
日本の軍隊は、わが国を侵略してはなりません!

私は日本を愛しています。
ですから、どうか、私たちの敵にならないでください。
私たちは、日本が独立した国として正しい決定をすることを願っています。


                   ●●●●
                   バグダッド、イラク





その2です。

この文章を書く発端となった浅井久仁臣さんの文書(リンク)
[↑目次へ

-----------------------転送元のメール-----------------------
Subject: [TUP-ML] TUP速報229号 日本人外交官の死について 03年12月6日

★私の意見★ 日本人外交官の死について 03年12月1日記 
---------------------------------------------------------------------
 11月30日、イラク各地で一斉に各国の派遣要員が攻撃されました。
 日本では外交官2名の死亡が大きく取り上げられていますが、スペイン、韓国、米国
の犠牲もあったことを合わせて考えなければなりません。
 これがイラクの攻撃者から見たら「イラク解放戦争」であることは間違いないし、米
国メディアもようやく使い始めた(のに日本は使わない)レジスタンスでもあるので
す。日本の外交官が、それらの攻撃の標的とされたことは、日本もまたイラク解放の敵
であるとされたことが明確になったことに他なりません。
 日本が今のところイラク戦争に直接参戦していない段階では、イラクの敵になる必要
は無かったのに。二人の外交官も殺されることは無かったのに、なぜそうなったのか。
深く掘り下げる議論はまだあまりメディアにはありません。今後はそういう視点で報道
をしてほしいと切に願います。
 私が12月1日、つまり事件報道の翌日に、その段階の情報を元に書いた文書を掲載
します。見直しや手直しなどはしていません。表現や構成はそのときの感情のままに
なっています。
                       山崎 久隆 TUPメンバー
---------------------------------------------------------------------
 あまりのことでちょっと尋常な気持ではありませんので、文章はだいぶ乱れているこ
とでしょう。「日本の外交官が殺された」ことのみならず、いったい誰に殺されたのか
ということが、ほとんどまともに論じられていないことに・・・。小泉純一郎、あんた
が殺したんだ。(この断り書きは最後に書いたものです)

 亡くなったお二人に心から哀悼の意を表します。そして、二人ともさぞや悔しかった
ことだろうとお察しします。即死しなかったと思われる奥審議官の亡くなる直前の言葉
があったとしたら、なんと言ったのだろうと・・・。

 浅井さんの全く同感の文書を読んでいて、いったいこの国は外交官をなんだと思って
いるのかと腹立たしくてしかたがありません。ろくな安全対策も取っていなかったこと
が容易に分かります。ティクリットといえばイラクで今もっとも危険な場所。そんなと
ころでイラク占領の象徴である暫定行政機構がなんで会議など開くのか。いわば挑発そ
のもの。そんな会議にわざわざ危険を冒して政府は出席させたのか。しかも護衛もつけ
ずに陸路で。今や日本は米国とともにイラク占領に荷担をした「敵」であると名指しさ
れているというのに。これっぽっちも危機感もなければ現場の苦労も知らない連中が霞
ケ関で荒唐無稽の戦略を練っているとき、現場では何の対策もないままに政府職員が戦
場のまっただ中を走らされる・・。


 私の子どもの友達が、家族とともに今イランに住んでいます。父がイラン大使館勤務
だからです。
 イランは米国が戦端を開くかもしれない国の一つです。
 あの凶悪な国がどうでもいい理由で他国を攻撃したら、その瞬間、私の子どもの友達
の命も危機にさらされます。
 浅井さんも書いていますが、外交の現場は情報が命です。文字通り自らの命を守るの
だって、信頼できる友人を多く持つことと、情報収集に怠らないことが肝要なのです。
以前外交機密費事件というのがありました。これが不正に使われていたとか、着服した
のがいたというので、大幅に削られました。しかし外交機密費にはこういった情報収集
や重要な情報提供者への謝礼や工作費というものもあったはずです。
 今回の事件と関係があるかどうかは知りませんが、外交機密費バッシングが、在外公
館にホントウに必要な費用を奪い取ったのだとしたら、その罪は誰にあるのでしょう
か。外務省の悪いところは、そういう目的に使用する「必要欠くべからざる」ものだと
いう説明をしなかったか、納得させられなかったことでしょう。

 二人を死に追いやったのは、スタンドプレイしか能のない首相の思慮に欠けた言動で
す。日本の首相が何を言っているかは世界が注視しています。もちろん日本の独自外交
なんてものを期待するからではありません。莫大な金を持っている国がいつまで、でた
らめな米国のブッシュ政権に追随し続けているのかを見守っているだけのことです。
 英国にしろ、日本以外で追随している国にはそれなりの事情があります。でも日本は
どっちの態度もとれた国です。何も好きこのんで戦場に軍を派遣しなければならない立
場にはない。憲法上の制約と言えば、どの国であろうと無理強いなどできない。
 内政不干渉の原則と絶対平和主義という憲法の制約を掲げる日本の位置は、それぞれ
異なる位相で明確に日本の派兵拒否を根拠づけるに十分な理由だったのですから。
 その国が、なぜか今回はやったこともない軍事力の展開というきわどい芸当を、常に
銃弾が飛び交い戦闘の坩堝にあるイラクで行おうというのですから、まともな感性を
持ったものであれば「ほんとうにどうしちゃったの」としか言いようのない目で見守っ
ていたと言うことでしょう。これは、ごく好意的な立場からの視線ですけれども。

 米国との戦闘を継続する者たちにとっては、いかなる軍であろうと援軍として差し向
けられそうであれば、機先を制して攻撃をかけるのは、別段珍しい話ではありません。
古今東西歴史に名だたる戦略家の取った行動にいくらでも見いだすことが出来るという
ものです。
 軍の常道は「弱い環からたたけ」
 日本を含む戦列を想像してみてください。米英あるいはイタリアとかオランダとかの
軍隊と並んで日本軍がいたとすると、その中でもっとも弱いところは日本の防衛線であ
ろうということは容易に想像がつきます。そこが狙われるのは軍事的には常識。
 後方攪乱戦法などというのは、これもまた常識中の常識。
 「テロに屈しない」などというのは愚か者が自分は愚かだと公言してはばからない言
質の典型。今イラクで起きているのは戦闘そのものであり、外交官を狙う行為も典型的
なゲリラ戦の戦闘様式でしかありません。
 これは警告に耳を傾けない日本に対する、もっとも残酷な形で発せられた最後通牒と
いっても良いでしょう。イラクの日本大使館が銃撃を受けたことが「攻撃されたかどう
か分からない」などとあきれ果てた福田官房長官の発言で、ほとんどまともに取り上げ
られていないことを知ったとき、これはとんでもないことになると感じたものでした。
 今回の事件は「ほんとうに日本がこのまま米国に追随したまま軍を派遣するならば、
全ての日本人、文民、軍人、それだけでなくジャーナリストもNGOも全て標的となす」
という意味での警告です。
 歴史には、米国がこれを無視した結果、ジャーナリストやNGOも標的にされた実例は
いくらでもありました。

 その背景には、日本のメディアではほとんど報道されていませんが、毎日のように行
われる米軍の掃討戦によって、イラク市民が米軍兵士の何倍もの数殺されているという
現実があります。

 イラクで戦闘行動を続けている人々の動機や背景はいろいろなものがあるでしょう。
傭兵のようなものも、単なる強盗もいるかもしれません。しかし決定的に重要なのは、
イラクには人民の海が存在していることです。
 攻撃者はその海に逃れてもいいし、またその海から新しい”兵士”をスカウトしても
いいし。そのことを分かった上で日本が軍隊を出そうとしているのだったら、もはやそ
れは自ら標的になりに行くようなものです。

 弾幕の中に飛び込むことが「テロに屈しない」ということなんだとしたら、この国は
とっととテロに屈してほしい。人道支援が銃弾の中で出来ると思っているのだとした
ら、一度JVCなりジャパンプラットホームなりに一年くらい参加をしてみろ。といいた
い。愚かしいにもほどがある。

 日本の自衛隊がサマーワに展開し、基地を「人里離れた砂漠の真ん中に孤立させて設
営するから攻撃者が接近しようとしてもすぐ見つけられる」のだと言う。
こんな大バカな話をホントウに自衛隊がしたのだとしたら、あんたら自殺しに行く気か
と問いたい。
 こんな陣地ほど危険なものはないだろう。それとも周りに10メートルほどの掘り割
りでも作るつもりか。大阪城でもあるまいに。(大阪城も落城したけれど)

質問 このような陣地にはどういう攻撃が一番有効か。

答え 夜間、遠距離迫撃砲や狙撃銃による間断ない砲銃撃

 例えば、あたろうとあたるまいと、自衛隊の持っている武装の最大射程(たぶん
500メートル程度)の外側からRPG7を毎夜のごとく撃ってきたらどうなるか。
あたらなくても、犠牲者が出なくとも自衛隊員は寝ることも出来ず攻撃してくる相手に
打つ手もなく、一週間もたたずに疲弊しきって、神経が持たなくなるでしょう。
 古今東西ゲリラ戦というのはそういうもので、孤立した陣地ほどそういう攻撃には極
めて脆弱だというのは、ディエンビエンフーの戦いを出すまでもない話。もちろん日本
の自衛隊が1954年当時のフランス軍に比べたら軍隊としてはお話にもなりませんの
で、50日も持つはずはなくまた、実際に攻撃をかける必要さえないでしょう。
 こんな戦闘は米軍が毎日のように経験している。そのあげくに何が起きるか。
 精神状態に異常を来した米兵が、M16を乱射してまわりじゅうのイラク人を射殺し
た。子どもも含めて多数の犠牲者が出た。これが自衛隊員に起きたら。


 話はそれましたが、この国の政治家は、物事を軍事的に解決するということがどうい
うことか分かっていない連中が多すぎる。シビリアンコントロールなどというが、こう
いった無知なシビリアンほど、いとも簡単に戦争を始めてしまう愚か者ぞろいだという
ことだ。

[↑目次へ

トップページへ戻る